Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

ターゲット

2015-12-19 01:00:00 | 雪3年4部(事件勃発~監視役)
翌日。

「赤山雪主催の勉強会」について、雪が柳に説明する。

「私達はまだ三年ですから、卒業試験は受けませんので。どうせ似たような内容を勉強するわけですが



過去問騒動のゴタゴタで忘れていたが、まだ雪は三年生なのである。

するべきは卒業試験の勉強ではなく、その他の勉強だ。

「だよな。そんじゃ専攻の勉強会にすっか?」

「はい、皆に呼びかけてやりましょう。前もってやれることやっとかなきゃ



柳は雪の意見を尊重し、この勉強会の主たるテーマを「専攻試験の勉強」に決めた。

テキストを見ながら、以前このテストを受けたという柳が説明を始める。

「生産管理は超ムズいらしいからな。出てくる数字も全部変えるらしいし。

でも見ろよ、淳の過去問は問題の答えだけじゃなく解説まで書かれてるぜ。これ見てりゃ間違いないな!」




そんな雪達の周りに、佐藤や海など勉強会に参加を希望する学生達が集まって来た。

「あたしたちもやるー」



雪と仲の良い同期、そして海の友達など、段々とその輪は広がって行く。

「海ちゃん!一緒にやってもいい?」「うん」



その様子を見た直美と直美と仲の良い女子が、「何よねぇ」とブツブツ言っていた。

白けた表情を浮かべている。

そして雪らを凝視しているのは、直美達だけではなかった。



柳瀬健太は、ジトッとした目つきで雪達を睨んでいた。

イラつく感情を持て余しながらも、頭の中では損得の計算が忙しい。

クソッ‥プライドがあるが、万一を考えて‥

面接の失敗に備えて、今からでもあいつらに付く方が‥




健太は迷っていた。

赤山のこれまでの非礼に目をつぶり、今からでもあちらサイドにつくべきかと。

そしてそんな彼を見透かすかのように、柳楓は冷めた視線を健太に送る。



うっ‥



柳と目が合った健太は、そこでハッとした。

何度も首を横に振りながら、先程の考えを思い直す。

いや!堂々としてりゃいい!面接も落ちるわけねーし!



そして健太はそれきり雪の方を見ようとはしなかった。



一方雪は、とある人物の背中をじっと見つめているところだった。

彼女の周りでは、柳や同期達が勉強会の算段を話し合っている。

「俺も更に人呼んだぜー他の空き教室探すか?ワイワイしちゃうもんな「そうですねー」



雪の視線の先には、

サーモンピンクのセーターを着た一人の女子。



彼女は、糸井直美と一番親しい子なのである。

雪は無言のまま、隣に座る聡美と視線を交わす‥。






そして授業は始まった。

雪は現在の状況を、改めて頭の中で整理しているところだ。

結局勉強会にまで事を広げてしまったし‥



しかもまた、この教養の授業‥。

どうせこの授業のグループ課題もダメだろうし、自分で全部やるとして‥




授業が終わり、雪は一人で外を歩いていた。

期末までグループ課題が二つと、勉強会、財務学会‥、週末までにそれらに取り組める日が三日‥



やるべきことは山積しており、時間は限られている。

それでも、過去問を盗んだ人間をそのまま放置するわけには‥



けれど、それを見ないふりは出来なかった。

雪の視線の先には、彼女が居る。



サーモンピンクのセーターを着た、あの女の子だ。



雪は頭の中で、彼女のプロフィールを改めて確認する。

黒木典。

口が軽い方。お喋りで、人の悪口を日常的に口にするwith直美さん




雪は彼女の後ろ姿を見つめながら、少し思案した。

どうやって話すかな‥



ターゲット・黒木典。

雪は自分がどう振る舞うべきかを算段しながら、彼女の後を追った。







自販機から出てきたコーラを手に取り、

典はそのキャップを回し開ける。



すると背後から突然掛かった声に、典は驚いて手元が狂った。

「典ちゃん」「きゃっ!」



炭酸はその衝撃で泡を吹いた。

シュワシュワと音を立てながら、典の手を冷たく濡らす。

「あ‥」「あ‥」



典は濡れた手を払いながら、苛立ちの声を上げた。

「もう‥!何なのよマジで‥」「あ‥ごめん」



雪は謝りながら、

彼女に向かってティッシュを差し出す。






その周到さに、典は一瞬口をポカンと開けて固まった。

そして雪の用意したティッシュは手に取らず、代わりに自身の鞄を探る。

「ううん大丈夫、ティッシュならあたしも持って‥」



ティッシュ出てこーい



無‥



はい



結局ティッシュは見つからず、典は「アリガト」と気まずそうな顔で、

雪の差し出すティッシュを受け取った。

どうしても‥



雪は自分と目を合わせようとしない典を見ながらこう思う。

基本的には直美さんが嫌いな私を、避けようとするはずだけど‥



手を拭く典を見つめながら、雪は話を切り出した。

「典ちゃん、もしかして○○区の辺りから通ってる?」



「学科長がその辺りに居るのって見たことあるかな?」

「さぁ‥?」



雪からの質問に、典は首を横に傾げた。

しかし彼女の瞳の中に、好奇心が踊るのが見える。



典は続きを促した。しかし雪は曖昧に笑うだけだ。

「それがどうしたの?」「あ‥ううん、特に何がってわけじゃないの」

 

「ティッシュ、もう必要ないなら私行くね。ちょっとしか溢れなくて良かった。ホントにごめんね」

「あ‥」



そう言って背を向けようとする雪を、典は思いついた言い訳で引き止める。

「あー‥ティッシュ、もうちょっとくれない?」



雪は笑顔で頷いた。

「いいよ」



心の中で声がする。

興味を持つであろう餌を撒けばー‥



必ず食いつく。

そして案の定、黒木典は食いついて来たーー‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<ターゲット>でした。

こんな風に意図を持って自分から働きかけるの、実は初めてじゃないですかね雪ちゃん。

ますます先輩に似て来たなと感じます。

そして典ちゃん‥寒いだろうにコーラ飲むんですね。若いな‥。


次回は<刺した釘>です。

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