Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

絞首

2015-12-15 01:00:00 | 雪3年4部(事件勃発~監視役)
地面に落ちた葉に指先で触れると、かさりと音がした。



葉は無数に落ちている。

赤山蓮はしゃがみ込みながら、何の気なしにそれを摘んだ。



けれどすぐ指を離して、今度は立ち上がってみた。

二、三回足で落ち葉を踏み締める。



ガサガサと音を立てて、葉は舞った。

蹴り上げてみると、もっと舞った。



けれどこの行動に、特に意味は無い。

蓮は木の幹を指でつつきながら、つまらなそうに黙り込む。



不意に北風が、ひゅうと傍を通り抜けて行った。

へぶしっ、とくしゃみをした蓮の鼻から、鼻水がズルリと一筋垂れる‥。








蓮はベンチに座りながら、この後行くランチのお店をスマホで調べていた。

「A大周辺のうまい店‥なんだよー全部高いじゃんよー。大学街とは名ばかりの‥」

 

収入が限られている今は、ランチ代もバカにならない‥。

蓮がぶつくさ言っていると、数十メートル先から、彼女が歩いてくるのが目に入った。

蓮は顔を上げて、その集団をじっと見る。



美大生だからだろうか、皆輝いて見えるのは。

そして、その中でもひときわキラキラしているのが小西恵だった。



恵達はワイワイとお喋りに興じている。

その内容は、近付いて来た期末試験と課題のことだ。

「教授ヒドイよね。

前のテストに出たとこまで範囲に入ってるなんて」




「古代美術史まだ覚えてる人居る?」「恵は暗記得意じゃん」

「一日しか覚えてらんないもん」「一夜漬けしかないかー」



すると恵の後ろに居た美大男子が、不意に彼女の腕を掴んだ。

「小西!前に石がある」「うわっありがと

「気をつけてよー」



恵は男子に礼を言うと、すぐに姿勢を正した。

そして再び、皆課題のことを話し始める。

「ソッコーでご飯食べて、皆でカフェ行って勉強しよっか」

「課題もまだ半分しか出来てないしな」

「あーあたしは‥」



そう言って恵が断りの言葉を口にする前に、彼女は蓮の姿に気づいた。

蓮はというと、少し緊張したような面持ちでその場に立っている。



「あっ!蓮!」



恵はパッと笑顔になって、すぐに蓮の元へと駆け出した。

恵の友人らに軽く会釈する蓮の前で、恵は彼らに別れの挨拶を口にする。

「それじゃ先行くわ!またねー!」「じゃねー」

 

「素敵なランチを~!」



恵の友人らは蓮を見て、ニヤニヤと笑って囁いた。

「あれが彼氏?かっわいいじゃーん」



キャラキャラと笑う声は暫く聞こえていた。

蓮は振り返りながら、恵に聞く。

「トモダチ?」「うん」






ふぅん、と言って蓮はキャップのつばを触った。

心のどこかがざわついていることを、知らないフリをして。

「てかテストなの?」

「ん~まだそんなに差し迫ってはないけど、前もって覚えとこうって話になってさ。

範囲、超広いから」




肩から掛けたショルダーバッグには、沢山のテキストやプリントが入っていた。

それでも恵は愚痴も言わず、ニコッと笑って蓮にこう説明する。

「プロジェクト課題も超溜まってるのに、一年生でも容赦なくテストも課題もあるんだって。

四年生は四年生でキツイし‥ね~?」




そこで恵は、自身の課題の話を終えた。蓮を気遣う言葉を掛ける。

「すごい待った?約束の時間より超早かったよね?」「うん、今日ちょっと暇だから」



その蓮の返事に、恵は「え?」と聞き返した。

「暇なの?お店、忙しいんじゃないの?」

「今日は父さんが家で休んでるから、店開いてないんだ。最近腰がちょっと‥アレで‥



そう言って言葉を濁す蓮を見上げながら、

「そうなんだ‥」と返す恵。



「大丈夫なの?」「ウン」








恵の心の中に、モヤモヤとしたものが広がり始めていた。

けれど蓮はそのことに気づかず、彼女とのデートに胸を弾ませる。



ギュッ、と蓮は恵の手を握った。



恵の手は冷たい。

けれど蓮はそのことに気づかなかった。

「‥それじゃ忙しい日はお店を手伝って、そうじゃない日はあたしと会うの?」

「ん?」



その恵からの問いに、蓮はニッコリと笑顔で頷く。

「そんなん当たり前じゃーん!俺はお前しか‥」

「それじゃあさ‥」「ん?」

 

しかし恵は蓮の方を向かない。

向かないまま、蓮に向かってポツリとこう問う。

「それじゃあ何してんの?最近‥」







蓮は恵からそう問われて、キョトンとした表情を浮かべた。

恵はゆっくりと、蓮の方へと顔を上げる。



「蓮、蓮は何をしているの?」



大きく澄んだ瞳が、その答えを待っていた。

蓮は笑顔を浮かべながら、その問いに答える。

「そ‥そりゃ勉強‥したりとか‥専攻とか‥ほら‥」







けれど言葉を続ければ続ける程、答えからかけ離れて行った。

見ないふりをしていた問題が、自分のやるべきことが、じわじわとその首を絞めて行く‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<絞首>でした。

恵の美大仲間が美形揃い!



キラキラしてますね~。

蓮が気後れしちゃいそうになるのも頷けます‥。


次回は<裏取り>です。

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