Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

仲直り攻撃

2013-10-14 01:00:00 | 雪3年2部(密会~再会)


雪と先輩が日がな一日勉強をしている時分、出勤前の亮は下宿にて食事をしているところだった。

ご飯時になれば共同の部屋に集まるいつもの仲間たち。

小太りくんが苦い表情をしながら口を開く。

「おれも同級生にバカにされたことあるぞん‥」



ぐびぐびと腰に手を当て牛乳を飲み干す亮の後ろで、小太りくんは涙ながらに語った。

「高校時代おれをいじめてた奴と偶然道で会ったんだけど‥

そいつはスーツ姿でおれはこのザマでっていう‥超みじめだったぞん‥」




同じような境遇の皆が、目頭を押さえながら彼の話に共感した。皆そういうことを、一度は経験したことがあるようだ。

亮はそんな彼らを見て、力強く言った。

「ったく泣き言ばっか言ってねーで、そいつら全員連れて来いよ。

オレがケチョンケチョンにしてやっからよー」




かっこつけてそう言うものの、事の始めは亮が西条に会ったことを話したことが始まりである。

小太りくんと他三名が、憐れむような眼差しで亮を見やる。

「河村クン‥君は口では憎まれ口ばかり叩くものの、実は傷だらけってことよーく分かってるぞん‥」



皆口を揃えて、お前の気持ちは分かると言って頷いた。亮は青筋を立てながら背中でそれを聞いた。



亮は牛乳を飲み終わると、シャツを羽織って部屋を出た。

出掛けに小太りくんが「牛乳頼んだぞん」と言ったが、取り合わなかった。



亮は一人階段を降りながら、頭の中で先日の記憶を反芻していた。



西条に会った帰り、赤山雪と言い合いをしてしまった時のことを。


お前にこのクソみてぇな気分が分かるか?



蓋をしていた苦い記憶が顔を出し、無関係の彼女を攻撃した。

出しゃばり過ぎたと謝る彼女に、今よりもマシな人生の答えを強要して、八つ当たりもした。



彼女は真っ直ぐ亮の目を見て、言い返してきた。

私はもどかしくてなりません





亮は決まり悪そうに、自分の髪の毛を手でワシャワシャした。

「チェッ」



そう口に出しても、心の中のモヤモヤは消えなかった‥。










夕方、SKK学院塾。

雪は自動販売機の前でボーっとしていた。



それもそのはず、あの後結局先輩と一日中勉強したのだ。

しかも今から授業‥大変は大変だが、それも前向きに考えることにした。

これも自分のためだ‥。このまま英語博士になってやる‥フフフ‥



ジュース片手にそのまま教室に向かう。

雪は廊下や教室の前など人が集っている所でなんとなく河村亮の姿を探したが、見かけなかった。

今日は見かけないなぁ‥でも会ったところで気まずかっただろうな‥。

変にケンカみたいになっちゃったし‥




雪は先日のことを思い出した。


河村氏の同級生だという男に会った後、彼は手負いの獣のように繊細で凶暴で、そして哀しかった。

オレの手がイカれてるのは事実だってのに!言い返す言葉がねぇじゃねーか?!



普段ならすぐに殴ったり、言い返したり、反撃する彼が何も言えなかった。

「日常生活は支障なく送っているように見える」と、雪がフォローのつもりで言った言葉は、

深い哀しみと怒りの前には何の意味も成さなかった。

ピアノが弾けないのに、それに何の意味がある?



深く事情を知っているわけではないが、それがきっと今の彼の全てなのだろう。

しかし雪もとばっちりの八つ当たりを受けて、黙っているだけではなかった。

いい加減にして下さいと、思わず声を荒らげて言い返してしまった‥。







雪は廊下を歩きながら、罪悪感を感じていた。

‥とにかく私が変に出しゃばって気分を害してしまったのは事実‥。謝るべきだよね‥



いきなり「おい、ダメージヘアー」と後ろから声を掛けられた。

振り返ると、ヒュッと何かが雪に向かって飛んできた。

「おわっ?!」



何とか受け取って見てみると、それは菓子パンだった。ウサギの絵が書いてある。

雪が顔を上げると、ビニール袋を手に下げた亮がこちらを見ていた。



ぶっきらぼうに言い放つ。

「ガキ共の残りだ。おまえも食え」



雪はパンを両手で持ちながら、彼の顔を見上げた。



しばし時が止まったように二人は顔を見合わせる。

亮は首を傾げる様に彼女を見下ろす。



その顔に、先日の怒りは微塵もなかった。

そのまま去って行こうとする亮に、雪は声を掛けようとした。ポケットに突っ込んだジュースに目が留まる。

「あ、あの河村氏~!ちょっと待っ‥」



さっさと行ってしまいそうな亮に向かって、咄嗟にジュースを放った。彼が雪にパンを投げたように。

「これ‥!もらって‥!」



振り返った亮の顔に、それはクリーンヒットした。

ゴッ



ジュースの缶は地面に転がり、ゴロゴロと音を立ててその場で回転した。

一方雪と亮の間は時が止まったように、二人共固まった。



目を見開いて冷や汗をかく雪と、手で顔面を抑えている亮。

亮は何も言わない。



雪は両手を開いて、必死に弁解した。

「いや、あの‥これは決してわざととかじゃなくって‥」



しかし亮が顔から手を離した瞬間、雪は息を飲んだ。

白目になっている彼の鼻からは、一筋の鼻血が出ているではないか‥。



「ダメージ~‥ヘア~‥」



雪を見下ろす瞳は血走り、鼻からは血が垂れた。

雪は顔面蒼白のまま、走って廊下を逃げる。鼻を押さえた亮がその後を追う‥。

何しやがんだ、ああ?!  す、すみません!!

わざとだろ?!  ち、違いますよ!本当にこれはただの事故なんです!

テメーどこに逃げようってんだ?!  うわぁっ!すみませんってば~~!!




その後二人はドタバタと廊下を走った。

二人の間に気まずい空気は、全く無くなっていた。


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<仲直り攻撃>でした。

パンにまたウサギ~



次回は<慣れてきた頃>です。


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