Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

不穏な影

2013-10-17 01:00:00 | 雪3年2部(密会~再会)
週末、雪はトイレ兼浴室で洗濯をしていた。

何枚かの下着をまとめて洗う。



ふと窓を見上げると、網戸の端っこの方が破れているのに気がついた。

これ、思い切り引っ張れば剥がれてもおかしくないよね?

どうして今まで気づかなかったんだろう?




雪は網戸を見ながら、近頃あちこちで盗難や変態出没など物騒な事件が多発していることを思い出し、直すことを決めた。

しかしどこの業者を呼んだら良いのか分からず、しばし考えたが隣のおじさんに聞いてみることにした。



その頃隣の秀紀の部屋では、机の上の重箱を前に彼は電話をしているところだった。

いただきますと恐縮し、電話だというのに何度も頭を下げた。



するとドンドンドンとドアがノックされ、秀紀はビクッと身を震わせた。慌てて電話を切る。

ドアを開けてみると、隣の部屋の女子大生だった。



話を聞いてみると、トイレの窓が壊れたので直したいのだが、修理屋の番号を知らないと言う。

秀紀は「それなら、」と携帯電話を取り出してスクロールし始めた。

「うちもちょっと前、急に窓が壊れたもんだから直してもらったのよ」



そう言いながら秀紀は電話を掛け始めた。しかし通話先は修理屋ではなく、ここの大家の孫だという。

最近はその孫が建物の管理をしており、無料でメンテナンスしてくれるらしい。

連絡を受けてすぐ後、大家の孫と言う男がやってきて雪の家の窓を見始めた。



「うわぁこれはヒドイですね~」



その男は破れた網戸を点検しながら、これは力いっぱい引っ張れば剥がれてもおかしくない、

近頃では丈夫な二重構造の窓だって破られることがあると雪に向かって言った。表から鉄格子をはめたほうがいいと提案する。

この家はここの窓以外鉄格子がはめられているのだが、トイレ兼浴室の窓は小さくその対象でなかったと雪は言った。



そしてバタバタしていたので、うっかり先ほど洗った下着をそのままにしておくところだった。

洗面器に入れられたそれは、隅の方に布を掛けて置いてある。



大家の孫はとにかくやってみると言って修理を始めた。

その後ろで秀紀が、雪の家のお菓子を頬張りながら感心する。

「あの人スゴイのよ~。水道管も直してくれたんだから。

あんたもこの際いっぺんに家の修繕でもしてもらうことね。タダなんだから」




なんやかんやと雪と秀紀が話をしていると、不意に大家の孫が振り返って雪に言った。

「あ‥ところで、週末なのにデートとかしなくていいんですか?」



窓の外はいい天気だ。

こんな日は彼氏と遊びに行ったりしないと、と大家の孫は笑って言った。

雪は突然振られた話題の、特に「彼氏」に反応する。

「ハハ‥。か、彼氏か‥」



ボンッと青田先輩の姿が頭の中に浮かんできて、雪はなんだかこっ恥ずかしくなった。

そんな雪の反応に、大家の孫は慌てて頭を掻いた。

「あれ?もしかしていなかったかな?いそうなのになぁ。下手なこと言っちゃったかな?」



雪は照れながらも、彼氏の存在を認めた。今日は用事があってデートは出来ないのだとぎこちなく話す。

それを聞きながら秀紀は「ちょっと、いないんじゃなかったの?」とトゲトゲした口調で言った。

つい先月雪とそういう話をした時、彼氏はいないと言っていたのだ。



そんな二人を見ながら、大家の孫は秀紀を見て「お隣さんもいらっしゃいましたよね、彼氏」とサラリと言った。

秀紀はそのあまりにも自然な流れに乗せられ話そうとしたが、ハッと我に返った。

「ちょっと!何を言い出すかと思えば‥!」



秀紀の剣幕に大家の孫はたじろいだが、すぐにまた訂正として言葉を続けた。

「あ‥間違えました。男友達が多いんですよね?」



そんなに驚くことはないじゃないかと大家の孫は笑って言った。

それとも女友達が多かったりして、と冗談のように言うが、秀紀の心中は落ち着かなかった。

しかし開き直って、彼氏も彼女も半々に居るグローバリズムを説こうとするも、すぐに携帯に電話が掛かって来て秀紀は背を丸めた。



雪はそんな彼の後ろ姿を不思議そうに眺める。今日の彼はいつもより清潔な感じで、印象も違った。

ヒソヒソと秀紀は電話を続ける。

「え?昨日?あ‥久々に同級生に会っててさ‥たまには会うべきでしょ?‥」




大家の孫は黙々と作業を進めていたが、ふと振り返って雪に言った。

「あ‥でも完璧に直せるかはちょっと分からないなぁ。専門家じゃないもんで‥」



それに対して雪は、見てもらえるだけでもありがたい、直せないその時は修理の人を呼べばいいだけだと言った。

すると大家の孫は、道具が揃わないが出来る限りやってみますと言った。



出来るような出来ないような‥。雪は取り敢えず申し訳ないと恐縮してみせた。

大家の孫は祖母から建物の管理を任されているので問題ないと言った。

「それに、」と窓を見ながら言葉を続ける。

「何事も手強いほど意欲が湧くものですから」



そう言ったきり、大家の孫は窓の修繕に勤しみ口を噤んだ。

雪はその言葉に疑問を抱きつつも、よく分からないままその背中を見ていた‥。










一方こちらは、都内の高級ブティック。

静香は携帯電話を二台持ちながら、しつこく電話してくる男に引導を渡しているところだった。



会計待ちの間電話をしていた静香だったが、店員が何度も「お客様、」と呼びかけてくる。

静香はそのしつこさに苛つきを露わにした。

「あーもう、何?」



店員は静香から出されたクレジットカードを見せながら、このカードは現在利用停止になっていると言った。

静香は面倒くさそうに別のカードを出したが、それもまた利用停止と出た。

「ちょっとどういうこと?!」



怒りのあまりサングラスを外し、静香は店員にちゃんとカードを通したのかと詰め寄った。

昨日までは通常通り使えていたのだ。一体何がどうなったのかと、静香は激昂した。










結局買い物は出来ず、静香は家に帰って来た。

そして青田会長に電話して、甘えた声を出して泣きついた。

「カード止めることないじゃないですか~!」



自分は一人身の何も出来ない女なのに、お金が無ければ暮らしていけないと芝居かかった口調で甘えたが、

会長は冷静に言葉を返す。

静香、資格を取ればいつでも働かせてやると何度も言ってるじゃないか



近頃じゃ就職するのも大変だというのに、どうして君はそのチャンスを掴もうとしないんだい?

静香は前々から会長から言われている電算会計の資格が、なかなか取得出来ないでいた。

自分はバカだから難しくて取れないと開き直る彼女に、会長は努力もせずにそういうことを言ってはダメだと諭した。



将来はどうするのかという会長からの質問に、静香は答えられない。

もう静香は二十七になる。いつまでも面倒を見続けることは出来ないと会長は言った。

このまま独り立ち出来ないようじゃダメだよ。私は一線を退く時が来て、君は社会に出る歳になった。



まずは自分の力で稼いでみて、お金の大切さを知ることだ

会長の言葉に、静香は顔を顰める。

亮だって一生懸命働いていると続ける会長に、静香はまた甘えた声を出す。

「ん~だとしても学費が無いと塾にも通えないし~。学費は貰えるんですよね?」



会長の答えはYESだったが、それも一ヶ月目だけという話だった。

学費を送り次第塾に確認の電話をすると言っているので、ちょろまかすことも出来なさそうだ。静香は舌打ちをした。



一ヶ月を過ぎたら彼女への援助は打ち切られる。

社会生活に慣れる為にも、自活出来るよう頑張ってみなさいと会長は続けた。

淳も君が自らの手で働き口も探して勉強もするべきだと私に言ってきたよ



皆君を心配しているから頑張るようにと言って、会長は電話を切った。

静香は携帯電話を睨みながら、怒りが沸々と湧いてくるのを感じた。

「やっぱり‥あいつが絡んでたか‥」



静香はギリッと唇を噛み、大声で「あの性悪の狐野郎め!」と叫んだ。

前回病院で会った時の狐野郎が思い浮かぶ。


父さんに告げ口して何が楽しい?



目には目を、告げ口には告げ口を。

彼の仕返しにしてやられた静香の怒りは収まらず、すぐに淳にメールを打った。

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<不穏な影>でした。

雪が洗濯してたところはユニットバスかな? 洗濯機はあるんでしょうか‥見たことないですね。


次回は<狐とライオン>です。


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