Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

フラッシュバック

2013-10-09 01:00:00 | 雪3年2部(塾にて~告白)
二人は、雪の家へと続く道を歩いていた。

この角を曲がれば、家はもうすぐそこだ。



角を曲がる直前のところでふと、

建物と建物の間の小さな路地が、雪の気に留まった。



色々な物が乱雑に置いてあるそこが、微かに動いた気がしたのだ。

雪は首を傾げる。



しかし目を凝らして見ても、ゴミが雑然と置いてあるだけだ。

気のせいだろうか‥。





先輩が歩きながら、「こっちで合ってる?」と道を聞いてくる。



この辺りは道が複雑で、一度や二度訪れただけでは大抵の人は覚えきれない。

雪は先輩に道を教えつつ、やはり先程の建物の間が気になっていた。

チラ、と振り返る。













雪の叫びが、夜の道に轟いた。

キャアアアア!!



突然の絶叫に、先輩が咄嗟に雪の方を振り向く。

勢いで両手に持っていた資料が舞い、腰を抜かした雪はその場で思わずしゃがみ込んだ。

確かに今、あの隙間に人間の手が見えた。

震えながらそこを指差す。



先輩はすぐに路地を覗き、誰が居るのかどうか確認したが、



そこには誰も居なかった。

先輩は何度も路地を見回したが、何も確認することは出来なかった。

「い‥いないですか?」「うん。猫か何かと見間違えたんじゃない?」



そんなわけない。確かに人の手が見えたのだ。

雪は改めて路地を覗き込んだが、そこにはゴミしか置かれていなかった。




「暑さでおかしくなってたのかも‥」と言う雪に、

先輩は「暗いからそういうときもあるよ」とフォローする。

そして二人は、地面に散らばった資料を集め始めた。



先輩が笑いながら、「雪ちゃんってなんだかんだよく転ぶよな?」

とその派手な転び方を茶化すので、雪は恥ずかしさと決まり悪さで、下を向いて赤面した。



先輩が、「去年も何度か見かけたし」と言葉を続ける。

雪は弁解しようと口を開きかけたのだが、ふと目に留まったものがあった。





散らばった書類、

先輩の靴‥。





沈めてあった、しかし消して拭えなかった記憶が鮮明に蘇ってくる。



ぶちまけた書類を必死に掻き集めている雪の向こうで、

彼は佇んでいた。



散らばった書類が彼の足元にあった。

君は度々間違いを犯すね



そう言って書類を蹴った。

その高そうな靴で。



俯いたまま固まった雪に、先輩が声を掛ける。

「雪ちゃん?」




あの時は、顔が上げられなかった。

言葉から伝わってくる嫌悪感に気圧されて、

ただ視線を彷徨わせることしか出来なかった。












顔を上げた。

あの時と違い、今は目の前に先輩の顔がある。



目を見開いて、雪のことを見ている彼。



雪は掠れた声で、恐る恐るこう言った。

「先輩の足元にある書類‥取ってもらってもいいですか?」



脳裏には書類から遠ざかって行く靴の映像が蘇る。

雪は瞬きも出来ないまま、彼の出方を窺った。



淳はその怯えた表情とその言葉で、彼女が何を思い出しているのかを悟った。



緩やかに振り返ると地面に散らばった書類に目を落とし、それに手を伸ばす。



淳が動くと、彼女はビクッと身を震わせた。

二人の間の空気が緊張する。

   


淳は彼女に書類を手渡した。

短く「はい、」と声を掛けながら。





淳の表情は険しかった。

落胆とも苛立ちとも取れる、厳しい顔。




ツゥ、と背中を伝う冷たい汗。

あの時感じた屈辱感とは、また違った感情が彼女の胸を騒がせていた。




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<フラッシュバック>でした。

盛り上がってまいりました!そして次回はついに‥!

<告白>でございます。。


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