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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

2つの論理の衝突

2015-01-01 08:25:20 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「2つの論理」12月26日
 『朝日新聞 誤りは速やかに訂正 社長が取り組み表明へ』という見出しの記事が掲載されました。その中に、『経営は編集の独立を尊重し、編集への関与をルール化・透明化する』『編集の経営からの独立を確保するため、社外の有識者でつくる常設機関を設ける』などの記述がありました。いずれも、『編集に経営が過剰に介入し、社の防衛のための紙面を作った』という認識に基づく改善措置のようです。
 もちろんこれらは、慰安婦問題の誤報や池上彰氏のコラム不掲載への批判を受けた措置です。多くの人が、こうした改善策を肯定的に見ているようです。私もその一人です。しかし同時に、こうした朝日新聞の一連の対応を是とするのであれば、もう一つの「2つの論理」問題についても、一方的な介入を問題視するはずだと思ってしまうのです。
 それは、このコラムで再三触れてきた首長への権限集中を柱とする教委改革の問題です。
ここでの2つの論理とは、教育の論理と政治の論理です。現行制度下では、教委は首長部局から独立した存在であり、首長が教委の事務局に直接指示をすることはありません。人事も予算も一応線が引かれています。もちろん、実際には首長の影響力を排除することは難しいのですが。
 しかし、今後、首長が集中的に権限を手にすることになったとき、選挙を控え、議会との関係に心を砕き、地域の有力者の意向に配慮しなければならない政治家である首長の論理と、全国的な共通性と教育活動の継続性に配慮し、長いスパンで事業評価を行っていかなければならない教育の論理がぶつかるケースが頻発するはずです。そしてその結果は、常に圧倒的強者である首長側の勝利で終わるのです。
 経営の過剰介入が今回の朝日新聞の事件を引き起こしたのだとすれば、首長側が教育の論理を排除して問題が起きる可能性についても検討すべきです。今回、朝日新聞は、ルール化、透明化のために規定を設け、監視機関を設置するとしています。それは単なる精神規定では、常に強者である経営側からの介入が起きる危険性を熟知しているからです。教委制度も同じです。首長の政治の論理が教育を歪めることを防ぐためには、ルール化、透明化、監視機関が必要なのです。
 でもそれでは、何のための改革かとなってしまいます。現状の教委制度に「屋上屋を架す」ことにもなってしまいます。結局、現行制度の方が優れているという結論になったしまうのですが。

 

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