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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

医師と教員

2009-02-19 07:48:49 | Weblog
「現場の意見」2月17日
 新人医師の臨床研修制度を見直す動きについての特集記事を目にしました。医師の世界については全く分かりませんが、教員との類似性が気になりました。
 記事では、「厚生労働省は効果の検証をしないまま、研修短縮ありきで見直しを始めた」「全国の病院の6割が加入する団体の反対意見は事務局作成のたたき台に反映されなかった」「研修が短くなれば若手医師が戻って来るという厚生労働省の思惑自体にも疑問の声が上がる」など、所管官庁である厚生労働省の独走ぶりと思惑の甘さが批判されています。
 現場の考えを無視した医師養成。医師を教員に置き換えても成り立つ話です。教員や校長が望んでいる施策、例えば校務の軽減化や教員定数の見直し、家庭の教育力の強化などには見向きもせず、さほど効果があるとも思えない全国学力調査や体力調査などに予算が投入されています。
 教員の授業力の向上が最大の課題であるという認識は現場と共通していますが、具体策は教職大学院の設置や10年次研修の導入であり、授業力は授業を通してしか向上しないという原則を無視しています。
 違うところは、医師については、現場が不満の声をあげていることです。教育界も現場が声をあげていくことが必要です。特に、日教組による教育混乱の記憶が強い世代の反感に配慮するのであれば、職員団体ではなく、一般の教員で構成する研究団体や校長会が声をあげていくことが大切だと考えます。
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民間委託

2009-02-18 08:05:34 | Weblog
「民間委託するもの」2月16日
 携帯電話の広がりで、年を追うごとに深刻化する子どもの「ネットいじめ」対策に悩む教育現場では、民間業者に監視を委託する動きが出ています。記事では、裏サイトやプロフなどを監視する民間会社「ガイアックス」を取り上げていました。
教育委員会によっては、教員自らが監視するよう、学校にネットチェック用の携帯電話を配備するところもありますが、現場はただでさえ忙しいのです。実際、都教委も、新年度から都内すべての公立学校について、専門業者にネットの監視を委託する方針を打ち出しています。
 小泉改革以来の「民でできるものは民で」という流れの中で、学校にも民間委託の波が押し寄せてきました。その中には、よい民間委託と悪い民間委託があります。給食調理の民間委託は前者で、外部指導員の導入が後者です。学校は、勉強をするところであり、教員は授業をする人なのです。教員がすべき授業を外部の人間に頼ることは、教員の授業力を低下させる危険性があります。ですから、「悪」なのです。一方、授業本体に関わらない部分は、積極的に民間委託を進めるべきなのです。
 こうした視点で見ると、裏サイトやプロフの監視の民間委託はよい民間委託ということができます。すべての教委で、こうした動きが強まることを期待したいと思います。
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壁になれない親

2009-02-17 07:52:53 | Weblog
「親子で契約書」2月15日
 静岡県教委が「静岡県のケータイルール」をまとめ、その中で、親と携帯電話を持つ子どもの間で、使用に関する契約書を作るように呼びかけています。
 契約書作成の際に必要な項目として、〈1〉使う「目的」をはっきりさせる〈2〉わが家の「ケータイについてのきまり」を作る〈3〉有害サイトを遮断するフィルタリングの種類を決める〈4〉学校の「ケータイについてのきまり」を守る、を挙げ、年齢で携帯電話の使い方が変わることから、契約書の更新も勧めているそうです。
 もし、この試みが本当に実効性があると考えることができる状況にあるのであれば、静岡県が羨ましいと思うばかりです。今どきの「親」に子供と対峙し、きちんと説得し、どうしても納得しないときには、「お前はまだ子供で、お父さんとお母さんのお陰で生活ができているんだ。自分で稼げるようになるまでは、勝手は許さない」と言い切ることができる人はほとんどいないと思うからです。
 携帯電話については、ネット機能を使えないようにした携帯電話を発売したところ、ほとんど売れなかったという事実があります。全国Webカウンセリング教会の安川理事は、「子供はネットにつながらない(通話、GPS、防犯ブザーのみ)携帯電話は欲しがらない。今の親は子供に簡単に流されてしまうから、機能を限定してもあまり意味がない」と語っています。少なくとも、東京では、完全に家庭に任せた親子の契約書の効力など、笑い話でしかありません。
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PTAじゃあるまいし

2009-02-16 07:31:08 | Weblog
「学校現場視察」2月15日
 麻生首相が、東京都品川区立品川小学校を視察しました。麻生内閣として教育問題を重視する姿勢をアピールするためだといわれています。授業を見学し給食を食べ、「給食もおいしかったし、子供がはきはきして行儀もいい」と語ったとのことです。
多忙な公務の一環として訪問してこの感想では、何をしにいったのだろうという疑問を禁じ得ません。品川区といえば、若月教育長の下、全国に先駆けて学校選択制、小中一貫校を導入し、独自のカリキュラム、指導体制を採用している自治体です。品川小学校は、同区で最も伝統ある学校でもあります。また、そうだからこそ視察先に選ばれたのでしょう。麻生首相は、教育バウチャー制度、義務教育前倒しなどの「持論」の持ち主だったはずです。麻生色を出すとすれば、それらとの絡みで、保護者による選択の功罪、小学校6年・中学校3年という既存の枠を取り払ったことによる影響などについて視察し、そのことについて感じたことを述べるべきでしょう。その程度のことを進言するブレーンもいないのでしょうか。これでは、麻生首相の教育重視はポーズに過ぎないと思われても仕方ないのではないでしょうか。
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アンケート調査結果の解釈

2009-02-15 07:56:05 | Weblog
「教員アンケート」2月14日
 都教委が出した都立校の職員会議において挙手による採決を禁じた通知の撤回を求める市民団体が、自らが実施したアンケート結果を都教委に提出し通知の撤廃を要請したそうです。1735人の教員がアンケートに回答し、その83%が「言論の自通に悪影響があった」と述べたそうですが、回答者数自体が、都立高校教員全体の2割弱にすぎません。もし、同団体が、全教員を対象に回答を求めたのだとすれば、8割強の教員が回答をしなかったことになります。そのこと自体が一つの意思表示でしょう。同団体が、通知撤回を求めている団体であることは、都立校の教員にとっては周知の事実ですから、その主張に利用されるのを嫌ったと考えるのが妥当です。しかし、同団体は、83%という数値の方を重視しているようです。
 また、アンケート結果の解釈以前に、どうしてこうしたアンケート調査が可能であったのかがよく分かりません。同団体は、9800人近い教員全員の住所を調べ、往復葉書で回答を求めたのでしょうか。単純計算でも98万円かかりますし、そもそもどうやって住所という個人情報を調べることができたのでしょうか。学校や都教委は外部の団体に個人情報を漏らすことはあり得ません。不思議です。
 アンケート用紙を学校に送ったのだとすれば、校長が公的な団体ではない同団体の調査に応じて調査用紙を配布することを認めたということになりますが、それもありそうにないことです。
 残るのは、同団体に賛同する保護者が教員にアンケート用紙を渡すか、そうした保護者と同じ考え方の教員が同僚に回答を依頼したかということです。もしそうだとすれば、アンケート用紙を受け取ったのはある傾向を帯びた教員が多いということになります。これでは、その結果を全教員の意識を反映したものだと判断することはできません。この記事を書いた記者は、その辺りの疑問をもたなかったのでしょうか。
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本当の「他山の石」

2009-02-14 07:41:08 | Weblog
「他山の石に」2月12日
 鳥取県教委が、県内外で起きた教職員の不祥事事案を集めてデータベース化し、4月から庁内の情報通信網(LAN)に掲載し、現場の教員がいつでも閲覧できるようにする取り組みを始めるそうです。「他山の石」にしてもらう考えだということです。
 自治体の発表資料や新聞報道を参考に、全国の過去5年間の飲酒運転やわいせつ行為、体罰などの不祥事を集めたうえで、発生に至った原因や、懲戒免職などの処分結果を掲載するとのことですが、あまり効果は期待できないように思います。
私は、教委に勤務していたときに服務事故を起こした教員の事情聴取や指導に関わってきました。そのときに作成する調書は、驚くほど詳細なものです。そこには、時系列で事実が書かれ、その際の教員の心情なども赤裸々に記載されています。わいせつ行為の場合など、その卑劣さ、身勝手さに凶暴な怒りにかられることもあります。そのそのような事例もあれば、処分を受ける教員に同情の念を禁じ得ないケースもあります。しかし、どちらのケースであろうが、公表されるのは、「区立中学校の男性教諭(○歳)が、部活の指導中に教え子の女生徒の体に触れるなどした」という程度の概要に過ぎません。
 こうした事例をいくら読んでも、それほど服務事故は減らないでしょう。また、「こうしたケースでは、処分はこの程度か」と悪用されないとも限りません。
 効果的な防止法は、都道府県教員の担当者が事例を提供しあい、都道府県名や校名、個人名や年齢を隠したまま、具体的に詳述されたデータを用い、服務事故防止研修会で事例研究することです。最初は、近隣県が数県集まって、始めてみてはどうでしょうか。
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日教組的闘士

2009-02-13 07:47:41 | Weblog
「建国記念の日」2月11日
 「建国記念の日」の11日、東京都内で祝賀行事や反対集会が開かれました。「建国記念の日」というと思い出すのは、かつて勤務していた小学校の同僚M教員です。彼は、学年主任として出席した運営委員会で、「建国記念の日が休日なんて納得できない。おかしい」と主張し続け、会議を紛糾させました。自分の考えに合わないものは、法的に決まっていることだろうが、社会的に受け入れられていることだろうが関係なく反対するM教員。かつてはこうした闘士が各学校にいたものでした。
現在では、一部の地域を除き、こうした頑迷な闘士はほとんどいなくなりました。「日教組がわが国の教育を悪くした」と主張する人たちは、こうした闘士が活躍していた頃のイメージを引きずっているのでしょう。正確に言うならば、「かつては日教組の影響力が大きく、わが国の教育は歪められていた面が多かったが、現在では、全国レベルで見て、それほど大きな影響力はもっていない」ということになるのでしょう。今後も、各教委が毅然とした態度で対応していきさえすれば、職員団体の政治活動団体的な性格は低下していく傾向が続くはずです。
私自身は、反職員団体的な思想の持ち主です。しかし、いつまでも職員団体の影響力を過大視し、教育の欠陥はすべて職員団体の所為にして、そこで思考停止しているような時代ではないとも思います。
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世間体でなく子供のことを考えて

2009-02-12 08:01:52 | Weblog
「漢字検定をめぐる不見識」2月9日
 漢検協会が文科省の立ち入り検査を受ける事態となる中、漢検の成績を推薦入試の試験点数に加算している高校では、入試方法の見直しを検討する動きが出ているそうです。取材に答えて、A私立高校の入試担当者は、「団体にこれほど問題があると、検定自体の権威が失われてしまうし、イメージの問題もある。生徒自身が(取得した資格を)胸を張って言えなくなるような検定を入試に採用し続けていいのか疑問だ」と語っています。
 また、B私立高校の入試担当者は「漢字の能力を測るという検定自体には今も問題がないと思っているが、バックボーンの団体はまずい。今年の入試の反省点となるかもしれない」と話しています。
 A校の担当者が言う「権威、イメージ」に左右されるようでは、教育者ではありません。教育者であるならば、自分たちで、漢検の内容を精査し、教育的に価値がある、例えば、「学習の基礎となる日本語力との関わりが明確である」「合格には相当の努力が必要で生徒の学習に対する姿勢の目安になる」ということであるならば、従来通りの対応をすべきです。B校の担当者のように、検定自体に問題がないという認識であれば、問題にする必要はないはずです。
 中学生の中には、漢字検定で準2級や2級という資格を目指し、1年生のときから地道に一歩一歩級を上げてきているものもいるはずです。その梯子を外すようなことをするのは、教育者の発想ではないのです。
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親はだめではいけない

2009-02-11 07:53:17 | Weblog
「親は少々だめがいい」2月8日
 家庭教育に関心をもっています。そこで、「たいせつなことはみんな子どもたちがおしえてくれた」を出版した絵本・童話作家きむらゆういち氏のインタビュー記事を読んでみました。よいことが書かれています。しかし、その記事のタイトルが「親は少々だめがいい」なのです。このタイトルは誤解を与えかねません。親はだめではいけないのです。
 きむら氏は、「子どもは生き物ですから、今しなくてはならないことが絶対にある」「子どもに手をかけられるのは、一生のうちのほんのわずかな期間」「仕事に代わりはあるけれど、子育てに代わりはない」「父親は「父親になろう」と思わないと親にはなれない。何か役割を果たして、初めて父親としての価値が出てくる」「親は子どものすべてを受け入れ、許してくれる存在」など、「よいこと」を連発しています。まったくその通りだと思います。
 きむら氏の言っていることを意識し、そうあろうと心掛けている人は決してだめな親ではありません。また、そうあることはとても困難なことでもあります。きむら氏は、謙譲の気持ちを込めて話しているのでしょうし、離婚した過去をわが子に対して済まないと思う気持ちをもっているようでもあります。また、氏の言う「だめな親」とは主に金銭的なことを指しているという面もあります。それらがあいまって「だめがいい」という見出しになっているのだろうとは思いますが、このタイトルを見て、本当にだめな自分を、「これでいいんだ」と肯定してしまうバカ親がいるのではないかと心配してしまいます。「仕事に代わりはあるけれど、子育てに代わりはない」をタイトルにしてほしかったと思います。
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簡単すぎては意味がない

2009-02-10 08:00:50 | Weblog
「高大接続テスト」2月8日
 「高大接続テスト」は、大学で学ぶ基礎学力が備わっているかなどを客観的に測るものです。同テストの実施が検討されている背景には、面接や書類審査を中心にするAO入試や推薦入試で入学する学生が増え、大学生の学力低下が指摘されるようになったことがあるそうです。
 文部科学省の調査では、一般入試での入学者の割合は97年度の72%から08年度は56%まで低下しています。そして、AO入試を実施した大学などから「学力低下が著しい」という指摘がなされ、平成18年度は6割の大学が高校教育の補習授業などを行っているという実態があるそうです。
 さらに、「大学全入時代」が迫る中、定員割れの大学も増え、一般入試ですら、質の確保を期待できなくなっているというのですから、関係者から入学者の学力担保を求める声が出るのも当然です。
国立大学協会や私立大学の関連団体、全国高等学校長協会、大学入試センター関係者ら22人の委員が、昨年11月、初会合を開き、文科省も「高校段階の学力を客観的に把握・活用できる新たな仕組みに関する調査研究」という事業名で委託事業に採択し、経費を支援するというのですから、今度は実現の可能性が高そうです。
 同テストが実現すれば、わが国の教育界にとって画期的な出来事になります。同テストは、高校在学中に行われることになります。今まで、うわさ話や週刊誌の話題に過ぎなかった「高等学校のレベル」がはっきりすることになります。今後、対象学年や実施回数、科目数、試験範囲、難易度などが検討されるということですが、ある程度の難易度に設定されれば、「あの高校に行っても、高校卒業レベルの学力は身に付かない」ということになり、志望者が集まらないという事態になり、最終的には廃校になるという事態が考えられます。そうならないためには、高校側は、漫然と、生徒が理解していようがいまいが関係なく、決められた授業をこなしていけばよいというわけにはいかなくなります。つまり、従来の「何単位の授業を行ったか」だけを問題にしてきた履修主義を、「生徒にどれだけの学力を身に付けさせたか」という習得主義に改めなければならなくなるのです。
 影響は高等学校だけに留まりません。高等学校で必死に指導しても、そもそも中学校から入学してくる生徒が分数の計算もできないというのでは、限界があります。そこで、中学校に対して、あるレベルの生徒を送り出すように求めるようになります。結局、中学校、小学校にも「履修主義」が求められるようになってくるのです。
 もちろん、学校段階によって、影響には強弱があるでしょうし、一直線にそうした動きにはならないかもしれませんが、大まかな方向としてそうなっていくことは間違いないと思います。期待したいものです。反対勢力に妥協して、低レベルのテストにならないかということだけが不安です。
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