ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

一人で、あるいは集団として

2024-03-18 08:07:56 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「個人で、もダメ?」3月13日
 『加藤氏「極めて不適切」』という見出しの記事が掲載されました。『自民党和歌山県連主催の懇親会に露出の多い姿の女性ダンサーが招かれていた問題で、加藤鮎子女性活躍・共生社会担当相は12日の記者会見で「極めて不適切な内容の余興が企画、実施され、国民の不信を招いたことは誠に遺憾」と強く非難した』ことを報じる記事です。
 いったいどういう感覚をしているのだ、と首を傾げたくなるような醜態です。常識では考えられない愚行です。その点に異論はありません。ただ、へそ曲がりな私は、こうした問題については、なぜ非難されるべきなのか、きちんと明確にしたくなります。そして、どうしても教員の場合、というふうに考えてしまうのです。
 校長会の懇親会で露出の多い姿の女性ダンサーを招いたとしたらどうでしょうか。校長と政治家、どちらがより人権感覚や倫理性を要求されるかの分析はさておき、今回と同様かそれ以上の非難が寄せられそうです。私が教委の指導室長を務めているとき、こうした事案が発生すれば、厳しく糾弾したはずです。市民、保護者の信用を損なう行為として。
 では、一人の校長が、勤務時間外に、そうした露出の多い姿の女性ダンサーが出演しているホールに行った場合はどうでしょうか。そしてチップを胸元に押し込んだとしたら。何らかの処分をするべきでしょうか。また、処分をすることは法的に可能でしょうか。闇カジノに行った、大麻を吸った、買春をしたというような違法行為ではありません。露出の多い女性ダンサーとの接触を問題視したとしても、女性ダンサーも合法的な職業であり、暴力団などの反社会勢力の人間ではありません。扱いによっては賤業扱いだと言われて、職業差別という批判をされる可能性も捨てきれません。
 何かと話題になった「セクシー田中さん」というドラマがありました。主人公の衣装も露出が多いと言われればその通りでしたが、真面目にベリーダンスに取り組む人物でした。その踊りを見に行ったことを問題視すればその方が問題になったでしょう。
 さらに広げて考えれば、校長が勤務時間外に一人で女性が接待してくれるバーやクラブに毎週のように行くのはどうでしょう。これまで問題だという人はさすがにいないと思いますが、広く知られれば、冷たい視線を浴びることは避けられないように思います。教委として非公式に「控えるように」という注意はすると思われます。女性関係以外でも、パチスロや競馬競輪に毎週通うというような行為も、非公式注意となるかもしれません。
 教員や校長も人間です。ときに羽目を外したくなることがあっても、それ自体非難されることではありません。教員や校長は石部金吉でなければならない、という考え方は教職聖職論に毒された考え方であり、非現実的です。
 とはいえ、退勤後に居酒屋で一杯とバーでホステスさんの手を握るのとでは、周囲の受け取り方が違うのは事実です。許容されるか否かの境界線はどこにあるのでしょうか。教員と校長では違うのでしょうか。男性教員がガールズバーに通うのと女性教員がホストクラブに通うのでは違いがあるのでしょうか。それても回数、常習性の問題なのでしょうか。あるいは、あくまでも個人として一人での行動なのか、〇〇会というような集団での行動なのかがポイントなのでしょうか。
 簡単に結論は出ませんが、こうした頭の体操をしておくことは、決して無駄ではありません。

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