「バカには分からない?」6月5日
『憧れも悔しさも正直に書く』という見出しの記事が掲載されました。作家小谷野敦氏へのインタビュー記事です。その中で小谷野氏は普通の人が言わないようなことを連発しています。
『海城(高校)時代はいじめが横行していて。文Bだと成績がいい分、人間がゆがむんです(略)最も性格の悪い男はいま大学教授です。頭がいいと人間性もゆがむって感じはしますね』『テストの前になると、自分の家にあるマンガを大量に学校に持ってくる同級生がいたの。私なんかそのマンガを夢中になって読んじゃうんだけど、その間に彼はいい点をとって、京都大学なんかに行っちゃった(略)受験体制がもたらす、ねじくれた競争意識というのかな』。誰しもが負け惜しみを含めて、似たような感慨を抱くことはあるとおもいますが、新聞という公器に、こんなに露骨に話す人は珍しいと思います。
小谷野氏はどんな人なんだろうと略歴を読むと、『東京大英文科卒。カナダのブリティッシュ・コロンビア大を経て97年東大で博士号』という学歴です。なんじゃこりゃ、です。さらに、作家としてもサントリー学芸賞を受賞し、芥川賞候補にもなっている、ご本人がまさに「滅茶苦茶頭がいい」人ではないですか。
さて、多くの人が秘かに思っている「頭がいい人には性格が悪い人が多い」というのは本当なのでしょうか。実に根拠のない妄説であるような気がします。そんなデータはないのですから。しかし、それはデータがないというよりも、様々な配慮からデータを収集することが憚られるということなのではないかという気もします。
また、人は似た者同士で集まる傾向があります。中卒や高卒の人と東大卒の人が親しい友達同士という例は少ないと思われます。私自身、中高の同級生に東大卒は何人かいますが、親しく付き合っている者、今も年賀状等を交換している者はいません。だから、私のような頭が悪い人間には、頭がいい人は性格が悪いということを実感として確かめる術がありません。
そこで問題です。小谷野氏が言う「頭の~」は妄説なのか、頭がいい人同士だけが知る真実なのか、どちらなのでしょうか。頭だけではなくて「金持ちは~」という説もあれば、「美人は~」という説もあります。こちらも、資産数百億などという知人はいませんし、石原さとみさんや浜辺美波さんのような知り合いもいませんので、私は実際に確かめたことはありません。
くだらない話を延々と書いてしまいましたが、実は人間はこうしたおかしな説を意外に信じてしまうものなのではないでしょうか。私の同僚の教員の中にも、「あの子は一人っ子だから~」「やっぱり長女だから~」などという決めつけを平気で語る人がいました。大丈夫でしょうか。若い教員の皆さんの中に、とんでも「説」を正しいと思い込んで子供にレッテルを貼っている人はいないでしょうか。レッテル貼で人を評価する癖がついてしまうと、相手をよく見て理解しようとする姿勢が失われてしまいます。それは教員として致命傷です。