居眠りで失敗を繰り返す(その2)
歯医者はほとんど利用したことが無く、妻に言われて歯垢の除去に同行させられたことがあっただけだった。
あの、厭なドリルだかグラインダーも初めての経験だった。
しかし、お昼を食べてしっかりと歯磨きをして出かけ、歯医者の椅子に腰を掛けると猛烈な睡魔に襲われる。
あの「キーン」と言う嫌な音と、振動を感じても駄目なのだ。
医者が言う「口を開けて下さーい、治療ができませーん」なんて言われて慌てて口を開く有様。
何度か恥ずかしい思いをしながらも無事に新品の差し歯が入り、上の真ん中にあった「スキッパー」も解消したのだった。
若い頃、そう二十歳頃のことだが、三か月半ほど、静岡県三島市に当時あった鉄道学園で学んだことがあった。
ここでも、その居眠りの能力はいかんなく発揮された。
あるとき、クラスを担任していただいた講師の受け持つ授業があり、休み時間に私の名前を呼ぶ。
何の用かと思うと「授業中にあまり寝ないように」なんて注意の言葉で驚いた。
(続く)