喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

書棚から想い出

2009-02-19 02:08:11 | 読んだ本のこと
理由あって書棚の芥川に久々に手を掛けた。芥川の『藪の中』は大学の卒業論文である。懐かしい事を言うと、いつだったか…小6か中1くらいだったと思うのですが、読書感想文が『地獄変』で、これで校内読書感想文コンクールで1位になったのを記憶している。でも時期はうろ覚え…。1位になると学校新聞に感想文の中の一文を載せて貰えるのが通例で、私の一文もピックアップされ載せて貰えた。確か『○○という名の生き地獄、これ以上、むごたらしい地獄があるのだろうか』みたいな…なんとなくそんな文章で、この○○という所がなんだったのかがどうしても思い出せないのだが、なんにせよ、あの感想文は自分の人生の文章の中でも珠玉の出来だったなぁと思っている。そんな若い頃に『珠玉』を書いて以来、書けてないのも悔しいが、あの時読んだ芥川はそれくらい鮮明で、美しく残酷だった。だから卒論にも『藪の中』を選んだように思うのだ。大学の時にやった芝居が『藪の中』をモチーフにしていて、それに出演していたのも大きいんですが。こないだの東京公演で、手伝ってくれた小池ちゃんと谷崎とか三島の話になり、なんだか近代文学が恋しくなった。ゼミは近代文学専攻で、教えてくださった細谷教授は文学青年を絵に描いたような素敵なオジサマだった。学校にはほとんどマトモに行かず芝居ばかりやっていた私が唯一真面目に受けたのが細谷教授の授業全般だった。あ、あと『生命環境における毒性』と安部公房『砂の女』の授業はちゃんと受けました。細谷先生、元気かなぁ。と本というのは色んな事を思い起こさせてくれるので、ホン書きの途中で手にするものじゃないとつくづく反省する。中学生日記を脱稿出来たら、芥川を読み直そう。

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