--いま、なぜこの悪質な組織の欺瞞性を問題にするか--
(本文中の赤文字・下線・太線=兼ブログ主編)
藤原弘達 創価学会を斬る 41年目の検証
言論出版の自由を守る会編 日新報道 2012=平成24年
人権侵害・政権簒奪・歴史改竄
創価学会・公明党による言論出版妨害事件を風化させてはならない
--目次は第3回目に登載--
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② 池田大作を守るのが公明党--「支援は人物本位」の狡猾な意図 /乙骨正生
◆ 代表質問で問われた政教分離
平成二〇年一〇月二日に行われた参議院の代表質問で、民主党の輿石東参議院会長は、公明党の母体でいまや自民党の生命維持装置と言われている創価学会を念頭に、「税制上優遇されている宗教法人が、選挙対策の中心拠点となって政党以上の選挙を行っているといわれている」と、憲法の政教分離規定についての政府・麻生首相の見解を問いただした。
国会の代表質問で創価学会,公明党の政教分離問題が取り上げられたのは、おそらく史上初めてのことだが、この質問が同年六月一三日に野党の有志議員の主催で行われた「矢野絢也さんより話を聞く会」での矢野元公明党委員長の、「非課税で運営されている宗教団体(創価学会)の施設が選挙活動の拠点になる。私の時代は対価を支払ったことはない」との発言に起因することは間違いない。質問者の興石氏もこの日の会合に参加し、矢野氏の発言に熱心に耳を傾けていた事実がある。
すでに民主党は矢野氏の国会への招致を決めているが、代表質問後に輿石氏が記者団の質問に対して「(衆議院の早期解散が見送られれば、矢野氏の招致は)当然、視野に入ってくる」と語ったこと、またこの日、夜のテレビ番組で、小沢一郎民主党代表が、矢野氏の参考人招致を「衆議院では自民党がうんと言わない限りできないが、参議院では大きなテーマだ」と述べ、野党が過半数を握る参院での招致に前向きな姿勢を示したことから、政局ことに衆院の解散時期が延びた場合、矢野氏の参考人招致が、野党が多数を占める参議院で実現する可能性が強まってきた。
◆「人物本位」を強調
この矢野氏の参考人招致を防ぐために、創価学会・公明党があがいている。
その一端を暴露したのは国民新党の亀井静香代表代行。亀井氏は、平成二〇年九月二三日に長野県塩尻市で行った講演において、麻生政権について「解散や国会召集まで創価学会の言いなりだ」と批判した上で、公明党が「矢野絢也元公明党委員長の証人喚問が『嫌だ』と言って、(喚問をやめることを条件に)国民新党への選挙応援を持ち掛けてきている」「次期衆院選で国民新党の亀井久興、糸川正晃両衆院議員を応援するとの話が来た」と、公明党が矢野氏の国会招致に国民新党が反対することを条件に、国民新党への選挙支援を持ちかけていると発言したのである。
民主党関係者も、創価学会・公明党の幹部や議員からの接触があることを認めているが、その狙いを浮き彫りにするような記事が創価学会の機関紙である「聖教新聞」の九月二九日付に掲載されていた。
問題の記事は「座談会新時代を勝ち開け!!」と題する会長・理事長らによる座談会記事。そこには「学会の支援は人物本位」との見出しが掲げられ、次のようなアピールがなされていたのだ。
「安倍(関東男子部長)…政治といえば、マスコミは次の衆議院の活動で持ちきりだ。さっそく学会の支援活動の動向に注目しているな(笑い)。
棚野(男子部長)…無理もない。最近では、どの党の支持団体も弱体化している。新聞も「組織票が激減』『支持団体が崩壊』などと書いているじやないか。
西山(関西長)…『そのなかで唯一の例外が学会だ」というんだな。(中略)
原田(会長)…改めて確認しておくが、学会の選挙支援は一貫して『人物本位」だ。
正木(理事長)…その通りだ。戸田先生は『選挙というのは、自分たちの最も信頼する人を、自分たちの力で選出するのが本当である』と指導された。信頼できる政治家とは連帯していく。信頼できない、悪い政治家は支持しない。これが学会の支援活動の根本であり伝統だ」
農協や組合など政党の各種支持団体・支援団体が衰退している中で、ひとり創価学会だけは健在だとアピールし、その創価学会の選挙支援は「人物本位」であり、「信頼できる政治家とは連帯」するとアドバルーンをあげる創価学会だが、ここで創価学会が強調する「信頼できる政治家」の「信頼できる」という条件が、矢野氏の参考人招致に反対するなど、創価学会の意向を尊重することにあるは明白。
そのことは、先に紹介した長野県塩尻市での、「(公明党が)矢野絢也元公明党委員長の証人喚問が『嫌だ』と言って、(喚問をやめることを条件に)国民新党への選挙応援を持ち掛けてきている」との亀井発言によって裏付けられている。
要するに創価学会は、会長・理事長が、機開紙上で、公明党と連立を組む自民党はもとより、矢野氏の参考人招致を企図する民主党の議員に対しても、矢野氏の参考人招致に反対してくれれば票を回す用意があると、機関紙を使ってアピールしているといえるだろう。
◆ ありえない民主党支援
もっとも創価学会票を生命維持装置として期待している自民党議員は別として、民主党議員がこうした創価学会の甘言に惑わされることは一部を除いては少ないと見られている。
なぜなら、平成二〇年一〇月五日昼のテレビ番組で、石井一民主党副代表が、公明党は「バイキン」だとして、「公明党票を四割もらえば、六割の浮動票が逃げていく」と発言したように、民主党議員の多くは、創価学会票をもらい創価学会のひも付き議員になることの危険性を認識しているし、創価学会・公明党が支援を口にしたとしても、守られる保証が無いことを多くの民主党議員は知っているからである。
例えば、同年一〇月四日に太田昭宏公明党代表が、所沢市・さいたま市・川口市入りした埼玉県では、九月下旬に公明党県本部の西田実仁代表(参院議員)と自民党県連の山ロ泰明会長(衆院議員)との間で、自民党が公明党に対して埼玉県内一五の小選挙区で四千票ずつ計六万票の比例区での支援を行うことで合意したと報じられている。埼玉県内の全小選挙区で公明党の比例区を支援するという自民党を裏切って、埼玉県の創価学会組織が民主党に票を回すことなど考えられない。
そして、こうした自公間での選挙協力の合意は、おそらく全国的規模で結ばれるはずである。比例区での公明票を「広宣流布のバロメー夕一」と称し、そのカサ上げを図る創価学会・公明党が、公明党比例区に票を回すという自民党を支援せず、民主党を支援する筈はない。
自民が公明を支援する埼玉県の所沢市を選挙区とする衆院埼玉八区では、かってこんなこともあった。平成一七年春、小選挙区で当選した自民党議員が公職選挙法違反で逮捕され辞職したため、補欠選挙が実施され、比例区で復活当選した筆者の友人でもある民主党の木下厚候補が立候補し、自民党の新人候補と争った。
この際、木下氏に対して公明党の二人の国会議員からアプローチがあり、創価学会に補欠選挙で少なくとも中立の立場を守ってもらうためには、挨拶に行った方がいいと勧められ、木下氏は、さいたま市にある創価学会の会館に赴いた。その席上、創価学会側は木下氏に対して、木下氏が筆者と友人関係にあることを批判、また筆者が発行している宗教と社会の関わりを考える雑誌「フオーラム21」の創刊一周年パーティに出席し、挨拶していることを批判し、筆者と手を切ることを要請したという。
これに対して木下氏は、友人であることを解消するわけにはいかないが、自分の方から連絡することはしない旨返答したところ、創価学会は、「聖教新聞」の座談会記事で、筆者と関係のあった代議士が、筆者の悪事を知って手を切ることを約束した旨の報道を行い、いかに筆者が「悪」であるかを大々的にアピールした。
ここまで利用したのだから、当然、補欠選挙で創価学会は中立的立場をとるかに思われたが、実際には、投票日直前に秋谷栄之助会長が所沢入りし、自民党候補への支援を呼びかけたと伝えられる。そのためもあってか、木下氏は落選した。
矢野氏の参考人招致を防ぐために、創価学会や公明党は、亀井発言に見られるように、参院で多数を占める野党、特に民主党の議員に対して、支援をちらつかせてのアプローチを図るだろうが、埼玉八区の木下氏に対する仕打ちが象徴するように、創価学会は「仏敵」と位置づける民主党に決して票を回しはしない。
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