--いま、なぜこの悪質な組織の欺瞞性を問題にするか--
創価学会・池田大作をブッた斬る
藤原弘達(日新報道) 1988年(=昭和63年)
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第一章 いま、創価学会問題をどうみるべきか
実は公明党の存在自体が危険なのだ
▼ 十九年目にやってきた男
公明党代議士・大橋敏雄が「文芸春秋」六十三年六月号に「池田大作への宣戦布告」と題する一文を発表した。宣戦布告などという勇ましいタイトルは、編集部がつけたのであろう。
「党と学会を私物化する彼にもう我慢できない」とサブタイトルのついたこの“宣戦布告”を一読したが、まことに勇ましいのはタイトルだけ、とても“果し状”という中身にはなっていない。しかし、公明党代議士 (むろん、創価学会員)がこういう文章を公表することはやはり勇ましいことに違いないらしい。
せっかくの勇気ある大橋議員の告発に対して気の毒ではあるが、その内容たるや、今さら何を……といった程度のものだ。池田大作の学会・党私物化について、世間は既にかなり知っている。これまでに幾多の、いわゆる内部告発が有名無名会員によってなされてきたのも、周知の如くである。但し、大橋告発が従来のものにまして学会・公明党にショックを与えたとすれば、現職の国会議員の肩書のある人間が造反したということ。
勇ましく映るのは、この点だけといえる。それは大橋自身が綴っているところだ。つけ加えていうならば、なんとなく泣き事めき、グチめいているが、それなりに彼としては勇気を必要としたろうと推測はできる。
「しかしその時点で私は、闘うという決意をマスコミに洩らす気は毛頭なかった。できることなら学会内部で解決したいと考え、病院のベッドの中で名誉会長への“直訴状”をしたためました。たとえ五分でもいい、名誉会長に直接会って私の心情を訴えたいと願ったわけです。
“直訴状”の内容はこうです。
「私のために時間をとって戴き、ありがとうございました。先生から受けた御恩を仇で返すような言動は、断じて許されるものではないと自覚しております。
罪の償いに指を詰めろといわれれば、この場で詰めます。死ねといわれれば、この場で死んでも構いません。
私もすでに六十二歳、長く生きてもせいぜい十年でしょう。どっちみち死んでいくなら、創価学会の改革と公明党の民主化のために全力をあげたという事実を世に残していきたい。それがまさしく私の死場所だと思うに至ったわけです」(「文芸春秋」63・6号)
「指を詰める」とか、「死ねといわれれば死んでも構いません」という時代がかった言葉がポンポン飛び出す、こういう文章をみて、世間にはいささか唖然とする向きが少なくないのではないか。ひと昔まえの東映ヤクザ映画の感覚なのだ。 驚くことはない。背中に唐獅子牡丹の刺青はなくとも、れっきとした堅気の国会議員でもこんな文章が書けるのが、即ち創価学会・公明党の体質なのだ。
「若い者が承知しないから」「交通事故に気をつけろ。誰がやるかわからないけれども」と彼らが口にした脅し文句にしても、唐獅子牡丹に劣りはしない。学会・公明党につきまとう、このアウトロー的体臭は一体どこからくるのか。
かって私は書いた。(「創価学会を斬る」) 「(日本ファシズムないし軍国主義の体系は)天皇と官僚とアウトロー (無法者)ということもいわれるが、学会員の中にもまさにアウトローがおり、そういう無法者の圧力を通じて、官僚がこれを吸収し、組織全体をふくらますエネルギーとして活用していくという点もみられる。そういう日本ファシズムの典型的な形態が、ベールこそ違え、学会の中にはたしかに再現されているということを、それなりにはっきりと認識しなければならないであろう」
この見方を、私は二十年経過した今でも改める必要を全く認めない。
大橋議員の告発問題に戻る。事は学会・公明党内の造反事件の一つであるとして、私は過大評価もしなかったし、さりとて過小なものとも見なかった。学会・公明党は本質的には少しも変わっていないのである。幾つかの造反が起きても、それが組織全体を直ちにゆるがす規模に拡がるとみるのには無理がある。コップの中の嵐とはいわぬまでも、所詮、まだまだ学会・公明党“一家”内の“お家騒動”に留まっている。
それでは、学会・公明党が大橋議員造反にどう対応したか。まことに奇妙なことになった。
宣戦布告された池田創価側は各地で大橋糾弾演説をやり、一方、公明党は大橋除名処分に出た。除名理由は収賄嫌疑と女性スキャンダルで、つまりは別件処分だから、かえって公明党の方が世間の非難と嘲笑を浴びることになった。
非難の方は別件処分のインチキさであり、嘲笑は、政教分離のウソつきによる。委員長の矢野絢也が「参った」と頭を抱える手際の悪さだった。
除名された大橋敏雄は「収賄嫌疑があるなら告発しろ」というが、党の方ではそっぽを向いたままだ。学会ふうバリ雑言は、例によって「魔」「ゴキブリ」「退転者」「ドブねずみ」の類い。そして、大橋中傷録音テープが全国学会施設でくり返し放送された。
月刊「宝石」(63・8号)「池田大作を国会喚問せよ」のインタビュー記事で、大橋はいう。(インタビュアーは内藤国夫)
「--別件処分だけでも問題なのに、でっちあげとは、ま、尾を引きますね?
大橋--ですから、受託収賄であれば告発しなさい、告発できないなら、除名処分を撤回せよと追及していく。いい加減な理由で処分を決めた矢野委員長ら執行部にいずれ責任をとってもらいます。
--追及する舞台はどこに?
大橋--国会で関係者喚問の動きが出ると期待している。現職代議士が受託収賄の罪を犯したとされたのですからね。(中略)党からの除名では不十分です。議員辞職をとの声があがって当然。その前に真相糾明を国会の場でともなるはずです。衆、参両院議長にも喚問実現を申し入れました。
--喚問するには各会派の合意が必要。公明党は池田大作氏の喚問にあえて同意しますかねえ?
大橋--世論の盛りあがり次第でしょう。喚問に同意しないなら、あくまで告発すべきだと要求します。政教一致の是非を問うのは国会の役割。憲法の基本に係わることですからね。池田大作は傀儡である秋谷会長らに私を誹謗中傷させて、自分は奥の院に引っ込んだまま。卑怯ですよ。何が何でも国会の表舞台に引っ張り出し、国民の前で対決する決意です」 ----------(次回に、つづく)---------18