ハイカーホリックの介護日記~機能訓練指導員の一日~
体の衰えは筋肉の衰えです。筋肉を復活させる事に全力を尽くします。
打倒サルコペニア。まずはウェブで!
 



暑くなってくると妻が「ねぇ~、ねぇ~」と猫なで声を出して、
僕を手招きして呼ぶことが多くなります。
別にいい年こいて、のろけ話をしようというのではありません。
僕は「またか・・・」と大きくため息をついて立ち上がります。

妻のあとをついて行き、「ここ」と指差した先には、
ゴキブリが変わり果てた姿で横たわっています。
というか床にへばりつくようにして死んでいます。
そうです妻は自分がつぶしたゴキブリを
僕に処理しろと言っているのです。

検死の結果、犯人は最初の一撃で抵抗する力を失った
被害者に対して、なおも執拗に打撃を加えたようでした。
その線から当初は怨恨の可能性が示唆されましたが、
逮捕された加害者と被害者との間には面識はなく、突発的な犯行で、
最初の一撃で興奮した加害者がその後も打撃を加えたようでした。

えっと、何の話でしたっけ?、そうそうゴキブリが死んでいたのです。
「おまえねぇ、ここまで徹底的につぶさなくてもいいんじゃないの?」
「だってティッシュでつまむときに動いていたら気持ち悪いじゃない」
「どうせティッシュでつまむのは俺なんだから一緒じゃないか・・・」
「だって~・・・」と、毎回同じやり取りが繰り返されます。
そしてティッシュを10枚重ねて、亡骸をつまみ葬り去ります。

しかし、ゴキブリの無残な亡骸をしげしげと見つめていると、
妻はゴキブリの顔に僕の顔を重ね合わせてスリッパを
振り下ろしているのではないだろうかと想像してしまいます。
そしてつまみあげる気持ち悪さと相まって、「ゾッ」とします。



「ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ・・・!」と切羽詰った様子の時には
ほとんどがムカデを見つけたときです。
ムカデはスリッパで叩いてても、なかなか死んでくれませんから、
我が家には「ムカデ専用駆除装置」を常に配備しています。

【ムカデ専用駆除装置】


ムカデ専用駆除装置」と言っても、ただのコッブと割り箸です。
ムカデ発見の一報が妻からもたらされると、流しに置いてある
この装置のコップにポットから熱湯を注ぎ、現場に駆けつけます。
現場では妻がムカデの行方を見失わないように見張っています。
隊員(←僕のこと)は指揮官(←妻のこと)の指差す方向に向かい、
犯人(←ムカデのこと)の確保に全力をあげます。

ムカデの方も「捕まってなるものか」と必死で逃げ惑います。
そのムカデを箸で捕まえ、コップの中に放り込むのです。
そうすればムカデは即死です。叩くよりはこちらの方法の方が
本人(←ムカデのこと)も苦しまずに成仏できると思うのです。
たまに箸のつまみ方が不十分で、ムカデが箸を伝って手のほうに
向かってくることがあります。その時は箸を放り投げます。
またあまりに抵抗が激しくて箸でうまくつまむことが出来ないときは
箸の先っぽでムカデの胴体を押さえつけます。
そうすると「ペキッ」と音がして、ムカデが骨折(?)します。
そうやって動きが止まったところを捕まえてコップに放り込みます。
そのために箸は後ろの部分がくさび状になったものがベストです。



前の仕事場の時に一度、体長30cmくらいのヘビが入ってきたことが
ありました。見た感じで毒ヘビでないことはわかりましたが、
放って置く訳にはいきませんので、この時ばかりは妻と協力し、
「ヘビ確保」に全力をあげました。しかしこっちが追い掛け回すので
重い医療器械の下に入り込み動かなくなってしまいました。
とても手は届きませんし、妻と2人では機械を動かせません。
それでどうしたかというと、掃除機で吸い取ろうということになりました。

僕が掃除機を機械の下に差し込み、妻がすき間からのぞいて
「右!、左!、もっと奥!」などと指示を出しました。
そして10分くらいの格闘の後、「ゴッゴッゴッ・・・」という音とともに
そのヘビは掃除機の中に吸い込まれたのでした。

「めでたし、めでたし」なのですが、ここで大問題が生じたのでした。
そうです、掃除機の中のヘビの入った紙パックを誰が取り出すか
ということで揉めたのです。しかし結局は僕がやることになりました。
掃除機をカパッと開けた瞬間にヘビが飛び出すのではないかと
思いましたが、ヘビも観念したのか、おとなしく紙パックの中で
とぐろをまいて、くたびれた様子でした。その紙パックを
ビニール袋に入れ置いていたところ、女性の患者さんが
「私が逃がしてきてあげる」と言って、持って帰ってくださりました。
何でも、ヘビを粗末に扱うとバチが当たるそうです。



最後に、このお話はほんの一週間前の出来事です。
仕事場の玄関を開けて妻がいつものように手招きをしていました。
ただ、いつもと少し違うのは、「すごく気持ち悪い」という顔を
しながらでしたので、イヤ~な予感を抱えて外に出てみました。
そうすると尻尾まで入れると体長約30cmくらいの
大きなドブネズミみたいなのが駐車場で死んでいました。

おそらく近所のお宅でチューライス(殺鼠剤)を食べて、
苦しくなって外に出て、うちのところで息絶えたのだと思います。
チューライス(殺鼠剤)をネズミが食べると喉が渇くそうです。
ですから水を求めて外に出て、外で息絶えるそうです。

「ちりとりで取って、ビニール袋に入れればいいじゃないか」
「絶対にイヤだ。気持ち悪いからやってきて」と一方的です。
仕方がないので、ちりとりで取ってビニール袋に入れました。
そしてゴミバケツに捨てて、 「は~ら~み~た~」と般若心経を
唱えて、手を合わせて冥福を祈ってあげました。
「は~ら~み~た~」「しきそくぜくう~」しか知らないのです。



結局気持ちの悪い仕事はすべてやらされるのです。
それでも以前は妻はゴキブリを叩くことすら出来ませんでした。
それが子供が生まれた頃からやるようになりましたから
やっぱり「母は強し」ですね。

そんなわけで今回は気持ち悪い話ばかりで申し訳ありませんでした。
でもどこの家庭でも起こることなので参考になれば幸いです。



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