★「秋吉台で出会った花」・中沢妙子著

→こちらで販売しております。
「たこさんの秋吉台日記」のたこさんこと、中沢妙子さんが本を出版されました。中沢さんとの出会いは2009年のこちらの記事に書いております。文中のTさんが中沢さんのことです。
出会いは全くの偶然で、厚かましくもそのあと僕は約半日ご一緒させていただき、帰り際に中沢さんからいただいた「植物に詳しくなりたかったら、月に一度秋吉台に来るといいわよ」というお言葉にさらに甘えて、それから毎月一緒に歩かさせていただきました。
この出会いがなかったら、今ほど植物に関心を抱くことは無かったかもしれませんし、そうなるとこのブログもやっていなかったかもしれません。何よりも植物に関心を抱くことによって癒されてきて仕事も続けられてきたので、大げさでなく、今の自分が無かったのかもしれません。人との出会いはとても不思議です。
「1年のうち300日以上秋吉台を歩かれる」中沢さんですが、これってスゴイことですよね。秋吉台の近くに住んでいらっしゃるわけではなく、車で1時間弱の距離を通われます。1年続けるだけでも大変なのに、それをもう10年以上続けていらっしゃるのですから驚きです。
お母様を看病され、毎日病院に通いながら秋吉台にも通われていたこともありました。また、手首を骨折されて不自由なのに、それでもトレードマークの一眼レフを置かれて、コンパクトカメラを携えて歩かれていたこともありました。この時の骨折の回復は驚異的で、「これをどうしてもやらなきゃ」という強い目的意識のある人は病気や怪我の治りが早いということを臨床で感じることはよくあるのですが、その早さが僕の予想をはるかに超えていました。
本に載っている花たちも道路の近くに咲いているものばかりではなく、どうしても1時間くらい歩かなくてはいけない場所に咲いていたり、恐ろしげな急坂を下っていかなくてはいけなかったり、昼間でも薄暗く人気のない林の中に咲いていたりと様々です。それをどんな場所でもお1人で開花確認のために何度も通われます。何度もです。
この毎日の積み重ねが本の中に散りばめられています。本の中の花の中には中沢さんが秋吉台で初めて発見されたものが多数あります。でも決して驕る事はありません。「もっと威張ってもいいんじゃないの?」と言った事もありますが、「新しい花が発見できただけで満足」のようです。世の中には、大したことのないことを大げさに威張り散らす中年オヤジや、自分の手柄のために捏造も辞さない考古学者など、とんでもない奴が沢山いるのに、中沢さんは数々のすごい発見を決して自慢されることはありません。中沢さんの発見は秋吉台だけではなく、日本の植物学にとっても貴重なものが多くあると思うので、もっと自慢すればいいのにと思います。
中沢さんはご自身のブログの中で、「『秋吉台で出会った花』は決して私の「人生の総決算」ではなく、少し大きいけれど、やはり「単なる通過点」と思っていますから・・・」と述べておられますが、中沢さんの周りの人間は誰もこの本が中沢さんの人生の総決算だなんて思っていないはずです。だって、まだまだ活躍してもらわなくてはいけない人ですし、ご本人から出ているパワーは衰え知らずですから。
最後に本の紹介をしなくてはいけません。「秋吉台で出会った花のうち763種を写真と文で紹介」とあります。A5版、208ページで定価1100円です。普通の大きな出版社でもフルカラーの植物の本であれば最低でも2000円くらいはしますから、自費出版でこの価格は破格だと思います。ちょっと安すぎなのではと他人事ながら心配です。
決して言い訳をしない、決して妥協しない、決して驕らない、頑固で、真摯で、ひたむきなスーパー主婦の作った本です。読まなきゃ損ですよ。県内の方のみならず、日本中の方に手にとってもらいたくて記事にしました。
ご興味を持たれた方は是非手にとって見てください。当院でも販売しておりますし、遠方であれば発送もいたしますので、詳しいことは当院のホームページのこちらのページをご覧ください。
追伸:発売10日ですでに1000冊完売だそうです。限定3000冊ですから、欲しい方は早く買われたほうがいいと思います。昨日、山口県の地方局のテレビ番組で中沢さんとこの本が紹介されましたが、そのあとで当院にも3件ほど本の問い合わせがあり、今日(12月15日)は2人の方が買いに来られました。
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