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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

研究者のアメリカへの流出~ノーベル物理学賞受賞に思う~

2014年11月07日 | 研究および大学

先日、ネットで2014年のノーベル物理学賞に決まった中村修二氏について、「中村氏に捨てられた日本」と書いた文を見つけました。

 

私は、この意見は見当違いだと思います。

60才近い、峠を越した研究者がアメリカの市民権を取ろうが取るまいがどうってこと無い。カリフォルニア大学は、別に新しいことを期待しているよりは、ノーベル賞の受賞者が多くいる大学と言う看板が欲しいのだろうと思います。 カリフォルニア大学サンタクララ校には受賞者が既に数人いますが、多いに越したことは無い。

 

中村氏のノーベル物理学賞受賞に関するメディアの論調も、最初に取り上げたネット記事のような、研究開発の環境を改善するべきという我田引水的な意見から、何か腰が引けたような賛美の記事が載っています。これは、中村氏の(日本人にしては)特異な性格(行い?)からでしょう。しかし、前者のような意見の例示として中村氏を取り上げるのは不適当と思う。

 

中村氏はこのキャラクターを続けると思っていたら、11月4日の各新聞には、中村氏の「ケンカしたまま死にたくない」という発言が載っています。記事の内容は、過去に青色LED特許で争っていて、受賞時の記者会見でもさんざん悪態をついた日亜化学と仲良くしたいというものです。「おいおい、何をいまさらキャラクターを変えるの?」という感じです。それなら、受賞時から日亜化学を批判しなければ良かったのに。日亜化学の社長はあちこちからの圧力でOKするかもしれませんが、現場はそうはいかないでしょう。

(11月7日現在、日亜化学は面会をやんわり断りました)

 

ところで、これは中村氏とは違う話ですが、若い時は海外に出て、それなりに海外で活躍して、年を取ってから日本に帰ってきて(海外から捨てられた?)、日本についてあれこれ発言する人がいますが、私は不満です。

「おまえに発言する権利は無い」といつも思っています。

 

2014.11.07


「世界大学ランキング」で東大の順位を上げる方法

2014年11月07日 | 研究および大学

先日の各新聞に、「世界大学ランキング」で、日本の大学が低迷しているという記事が出ていました。この「世界大学ランキング」の他にも、大学を格付けして発表する機関が複数あります。しかし、私はいずれのランキングでも、日本の大学の評価は実力より低いと思っています。 いずれ、「大学ランキング」を決める評価手法の中身を精査します。(英語を読むのはつらいので、できれば!)

 

そのような時に、2014年10月6日付の日経新聞に、「世界大学ランキング」で日本の大学の評価が低い原因の一つは、文系の評価が極端に悪いからと書いていました。

      (Times Higher Education)

(表の注)黄色は「総合」ランクよりも高い系。うす緑色は「総合」ランクよりも低い系。

 

なるほど、確かに文系の低さが、全体の足を引っ張っています。それにしても、東大・京大とも理系は、ランキングがもっと高くても良いのではと思います。

 

この表で疑問なのは、京大は {(文系の順位)+(理系の順位)}/2≒総合順位 ですが、東大は総合順位より高いのは理学系だけで、他の全ての系で総合順位より低いこと。ということは、理学系だけで総合順位より下にある他の全ての系を引っ張り上げていることになるけど、本当にそうなのかなあ? 東大の理学系って、そんなにダントツだったかなあ?

 

問題は、欧米の機関が決める大学ランキングが日本の大学の実体を反映しているか?です。

論文の数や論文の引用数、留学生の多寡など、大学の実力と言うには首を傾げたくなる点もある。画期的な論文でも日本語で書くと誰も読んでくれないのに、くそ論文でも英語で書けば誰か読んで引用してくれる。それに、留学生の多寡にしても、欧州は旧植民地からの留学生も多いので有利。

 

そんな不利な日本にあって、東大のランキングを手っ取り早く上げるにはどのようにしたら良いか? 画期的なアイデアです。

大学の在り方として、官吏養成と先端技術開発は相いれないと思われます。それで、東大から官吏養成を主目的とする文系を切り離して、「東京文系大学」とか「東京大学文系」とか「東京官僚養成大学」を作って、従来の東京大学は理系だけにすれば、たちまちランキングは上昇します。秋入学より即効性抜群です。

 

2014.11.07


2014年ノーベル物理学賞の疑問~ノーベル賞は赤色LEDに授与されていない~

2014年11月01日 | 研究および大学

三人並んでもソッポを向くのでは?

以前から一部で報道されていますが、赤崎勇氏・天野浩氏と中村修二氏は仲が悪いようです。昔から雑誌には書かれている話ですが、カリフォルニア大学の中村氏は自分の業績は強調されていますが、赤崎氏・天野氏の業績は全く無視しているようです。

ノーベル賞の授賞式では、互いにソッポを向いて座るかもしれません。今から、ハラハラドキドキします。

 

赤色LEDの発明者は、ノーベル賞を貰えなかったの?

私はてっきり、赤色LED、即ちLEDの発明に関して、ノーベル賞が授与されていたと思っていました。だって、赤色LEDが先ず発明されていないと、青色LEDは発明出来なかったでしょう。

先ず、ダイオードが発光することに気付いたのは、第二次世界大戦前の旧ソ連のローセフでした。そして、赤色LEDを初めて作ったのは、アメリカで移民の両親から生まれたホロアニックでした。

http://www.antares-network.com/led.html を参考にしました)

 

ローセフは、第二次世界大戦で戦死しましたが、ホロアニックは未だ存命中なので、ノーベル賞を受ける資格はあります。

ノーベル賞の選考は、気まぐれですね。しかし、授与される側は、ノーベル賞を取るか取らないかで大違いです。良い例は、中村修二氏です。ノーベル賞決定後は、彼に批判的な論調は影を潜めましたから。

2014.11.01


東大は大丈夫か? ~インプットに比べてアウトプットが少ない~

2014年10月28日 | 研究および大学

東京大学は、日本No.1の大学である。都内の交通至便な地域に広大な敷地を持ち、多数の教員と多数の学生を有し、多額の予算を使う立場です。

東大の主目的は官吏養成であり、国家公務員総合職試験の合格者は、ダントツの一位です。それに、国家的な規模の技術開発、例えば原子力開発やロケット開発を担ってききました。

また、東京大学の人たちは、自分たちはダントツの実力を持っているのを自覚しているのでしょう。

 

下の表は、旧帝大の一部と東大の比較です。

 

教員

職員

院生

学部生

東京大学

3793+1972=5765

3878+584=4462

13768人

14003人

京都大学

2777+629=3406

2655+811=3466

9256人

13421人

北海道大学

2057

1853

6030人

11390人

名古屋大学

1701+778=2479

3386+1095=4481

6347人

9926人

東北大学

3174

3195

6757人

11060人

(注)教員と職員の項で、+の後の数字は、有期雇用者数

(注)データは、各大学のホームページから(大学は数値が明確な所から選びました)

 

 この表を見ると、教員・職員・院生では、東大がずば抜けています。ちょっと非常勤の教員が多いのが気になりますが。

問題は、この規模に対してそれ相応の実績を上げているかです。例えば、評価が比較的容易な理科系において、圧倒的な業績を上げているでしょうか?

ノーベル賞受賞者を出身大学別に見ても、ノーベル賞受賞の研究業績を産んだ当時の所属をみても、東大は見劣りします。

 

そしてここからは主観的になりますが、先端研究はそれほど得意では無いように思えます。例えば、コンピューターやインターネットで、東大は先駆的な業績を上げたでしょうか? かろうじて、坂村健教授のTRON? ゲームを除くと、コンピューターやインターネット技術で、顕著な業績を上げていないのは、東大だけでは無い日本全体の問題ですが。

 

東大が得意なのは、金と人を大量に投入する力ずくの技術のように思えます。逆にいうと、東大は金と人を大量に集めることが出来ると言うべきでしょうか。このように、多額の予算を使い、多数の人を掛けていながら、先端技術開発はその割に成果が上がっていないように思えます。

 

ここで書いたことは、主観的な印象なので、順次データを示しながら書きたいと思います。

2014.10.28


京都大学の建物は外観がバラバラか? 京大と東大の比較

2014年08月06日 | 研究および大学

20135月に、下記のような文章をブログに載せました。

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建物考~東京の特徴はバラバラ~

 日曜日の朝7時半からのTBSの番組「がっちりマンデー」で京都大学の紹介をやっていました。その中で、京都大学の独創性の喩として、「京都大学には、本当に変わった人がいるし、建物も好き勝手に建てているので外観がバラバラ」と言っていました。京都大学の人も建物もほとんど知らないので、・・・(以下省略)

 

(注)東大の建物の写真(2020.07.28)

建物考~東京の特徴はバラバラ~東京大学編」参照

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上記の文を検証するために、7月下旬に何十年かぶりに京都大学吉田キャンパスを、北は農学部から南は附属病院まで見て回りました。今回京都に来た本来の目的は、実家の改修工事の手伝いです。

 

結論は、建物の外観がバラバラな感じは無く、平凡な建物ばかりでした。これじゃ、東大の本郷地区の方が、外観もバラバラです。おそらく本郷は高さ制限も緩く、金もスペースも十分あるのか、好き勝手に建てている感じです。そもそも、東大に比べて京大の敷地は狭く、高さ制限も厳しく、デザインにも制限が多いと思われます。キャンパスを例えて言うと、京大が下町とすると、東大(本郷も駒場も)は松濤の大邸宅です。

 上記の文のもう一つの特徴の「本当に変わった人がいる」という件は、今回検証していません。検証できない!

 

これから先は、建物と関係ない話。

京都大学を訪れたのは、728日の月曜日。学生は夏休みで、構内は閑散としていると思ったら、やけに学生らしいのがうろうろしているし、この駐輪の列!(写真参照。ヒドイ写真で申し訳ない)

                 

 

駐輪が多いのは、盗難防止の観点から、学生が構内に自転車を置いたまま、帰省したのかなとも思えるけど・・・

それにしても、人が多いのはなぜ? 理系は実験があるので、夏休みも出ているのもしょうがないと思っていたら、経済学部付近でも人がうろうろ。夏休み中の東大本郷構内は、学生はこんなにいなかった。京大は、人口密度が高いから? それとも、京大生は勉強好き? まさか!

 

建物と関係ない話、その2

週刊東洋経済82日号の大学特集記事中に、京大は「関西での地位に満足しつつも、東大を意識している(心の中ではNo.1)旧帝大No.2」とあり、東大は、「日本の最高峰、他大学は眼中に無い、旧帝大No.1大学。「一応」東大です、余裕で一番さ!」。どちらも何か気の抜けたビールのように、少し苦いけどパンチの無い批評なので、私がキャッチフレーズを考えてみました。

東大は、「なんでも1番のつもり」、京大は、「永久にNo.2、研究でNo.1を目指す」

はいかが? 宴会で残ったビールくらいかな?

2014.08.06