今回のSTAP細胞をめぐって、ネット上では誹謗中傷擁護嘆きが飛び交っていますが、専門家は当たり前ですが冷静なようです。
なぜ冷静かと言うと、その理由の一つに、今までも新しい多能性細胞を発見したというニュースが何件かありましたが、「時間が問題を解決してくれた」ということでしょう。新しい多能性細胞を発見したという事実だけではダメで、その多能性細胞が社会のために役立つのか、あるいは新しい発見や理論の解明に結びつくのか、その細胞が安定して作成できるかなどで、その評価が決まってくるようです。
それに、自ら再現実験をやろうという人は、国内では少ないのでは? 現在の自分の仕事を優先したい、あるいは、他人の追試の状況を見て、自分が手を付けるか判断するということでしょうか? 追試をしても、自分の業績にはならないし。
最近報道された多能性細胞だけでも、ES細胞やiPS細胞の他に、MAPC細胞、VSEL細胞、Muse細胞があります。ES細胞とiPS細胞は、実際に広く利用されています。Muse細胞は、研究途上にあるというべきでしょうか。
・ES細胞:動物の胚から作成する多能性細胞
・iPS細胞:細胞に山中4因子を導入して作成する多能性細胞
・Muse細胞:2010年に東北大の出澤真理教授が発表。間葉系細胞の中に、元から存在する多能性幹細胞にストレスを与えることで選抜。骨髄の細胞約5000個に1個の割合で存在するが、培養しても約2週間で増殖は止まった。STAP細胞は、元の細胞から変化した細胞であるが、Muse細胞はもともと体の中にある稀に存在する幹細胞。
ネット上では、Muse細胞とSTAP細胞は同じ?という話が載っています。これは、STAP細胞が、弱酸で初期化したのではなく、既に存在するMuse細胞と見間違えたのでは?という推測です。
一方、MAPC細胞とVSEL細胞は、存在が怪しくなっています。
・MAPC細胞:現在では、捏造では無く、ミスと言うことになっている
論文は、2002年の”Nature” 誌に記載された。米ミネソタ大のキャサリン・バーファイリー博士が執筆。ネズミの骨髄の幹細胞から多能性幹細胞を作成したとするもの。他のチームが再現しようとしても、再現できなかった。2007年にミネソタ大のチームが否定した。
・VSEL細胞:
極小胚様幹細胞。2006年に報告。生体マウスの骨髄内で多能性を有している。
2013年7月にスタンフォード大と東大医科研のチームは、存在を否定する論文を発表。
(まとめ)
過去にも有名雑誌に掲載されながら、後にその存在が怪しくなった例が複数ありました。STAP細胞も、スタート台に立っただけで、これからが勝負です。
(追加)
下記の慶応大学・吉村教授のサイトには、STAP細胞の共同研究者の一人、山梨大・若山教授が「山梨では再現できなかった」ということが書かれています。情報源は書かれていませんが、本当だとしたら、他の人の再現は非常に困難と言うしかないです。先ず、共同研究者に再現してもらうのがスジです。
http://new.immunoreg.jp/modules/pico_boyaki/index.php?content_id=344
(もう一つ追加)
22日現在、1月末から掲示されていた、理研のSTAP細胞に関するプレスリリースが削除されてしまって、見ることが出来ません。データや画像をチェックしているのでしょうか?
2014.02.22
(修正1)
Muse細胞の項で、「ネット上では、Muse細胞とSTAP細胞は同じ?という話も載っていますが、少なくともMuse細胞はもともと存在する細胞なので、STAP細胞とは異なる素性と言える」
と言う部分を
「ネット上では、Muse細胞とSTAP細胞は同じ?という話が載っています。これは、STAP細胞が、弱酸で初期化したのではなく、既に存在するMuse細胞と見間違えたのでは?という推測です」に書き換えました。
(修正2)
慶応大学・吉村教授の情報源は、「書かれていない」と書きましたが、前回にも報告している、海外のサイト ”Nature” が情報源でした。
http://www.nature.com/news/acid-bath-stem-cell-study-under-investigation-1.14738
の下の方、” Experimental protocol” の所に書かれています。
2014.02.24