アタシだって言いたかないよ、言いたかないけど言わせてもらうよ

その時に思った事、面白かった事を書きます

お寿司ジャンケン

2018年12月06日 12時46分54秒 | Weblog
この話はフィクションです


主人公は「女」と思って読んで




あれは私が小学生の頃だから、20年以上前だったと思う


1年前に、(生まれつき心臓が悪かった)お兄ちゃんが死んで


家の中は、何となく暗かった



ある日、「近所の料理屋さん」が


「42歳の厄年で、お客さんに配ってる」と言って


「赤飯」と「寿司の折」と「焼き鯛」(1キロくらいの大きな鯛を、鱗がついたまま焼いた物)をくれた


お寿司は「エビ・ウナギ・サバ・小鯛・稲荷寿司が2カンづつと巻きずしが4切れ」だった


色々考えた結果、お寿司を半分に切った


お父さんが


「ジャンケンをして、自分の好きな物を選ぼう」と言い出した


私は、サバや小鯛はあまり好きじゃなかったから嬉しかった


お父さんはビール、お母さんと私はお茶を飲みながらジャンケンをした


「勝った~」「あ~負けた」と言いながら、選んで食べるお寿司は美味しかった


何より楽しかった


お腹いっぱいになって、寝る前に「またやろうね」と言ったのを覚えてる




それから中学・高校に行って、地元の会社に就職した


そこで知り合った(2歳上の)男性と結婚した


すぐに男の子が生まれ、2年後に女の子が生まれた


子育ては大変だったけど、それなりに楽しかった


子供が大きくなって「回転寿司」に行った


ニコニコしながら食べてる子供を見て「お寿司ジャンケン」を思い出した




今にして思えば、両親は「私の好きな物」を残してくれたんだろう


「好きな物を食べな」といわれるより


「ジャンケンで勝ち取った」方が楽しいから



(お寿司を持って、久しぶりに両親に会いに行こうかな?)と思った



おしまい。






「カンの鋭い人」は気が付いたかもしれないけど


この中に出て来る「近所の料理屋さん」が俺だ