ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

新型インフルエンザワクチンの悩み

2009年11月28日 | 医療
当市では、初めの予定よりも前倒しで今月16日から、
喘息など基礎疾患のある方々への新型インフルエンザワクチン接種が開始されました。
それでも東京都などよりは遅いようです。
隣県でも、基礎疾患のない1歳以上のお子さん達への接種がすでに始まっているようです。

接種開始に伴い、1回分だけですが、市からの補助も出ることになりました。
3600円が2600円になります。
わずか1000円といえども、これは嬉しいことです。

でも、問題もあります。
うちのように接種対象者がある程度多いところには、
ワクチンの薬液が1本10ml入りのものが配られるのです。
これには正直、参りました。
だって、子どもの1回接種量は、0.2mlとか0.3mlなのです。
10ml入りなら、約40人分に相当します。
しかも、一度開封したら、24時間以内に使い切らなければなりません。
10mlのうち、もしも4ml(15~20人分)余ったら、捨てなければなりません。
それでは勿体ないので、初めの週は、急遽あちこち電話をしておいでいただきました。

その問題を解消すべく、今度は集団接種を県が考慮、という話が地元紙に報道されました。
これも、現場のわたしたちには、寝耳に水、です。
なぜならば、インフルエンザワクチンは任意接種ですから、基本的には自費です。
BCGや3種混合ワクチンのような無料の定期接種なら、集団接種も可能ですが、
金銭のやりとりはどうするのか、場所はどこでやるのか、
スタッフは?、救急の体制は?・・・・・・。
各医療機関で持っているインフルエンザワクチンを持ち寄るのか、
その具体的な方法は、まったくわかりません。

なぜ10ml入りのワクチンを製造したのか、コストの問題なのか、
集団接種を考慮に入れてのことだったのか、今もって不明です。

集団接種するならするで、国の方針として初めから計画を立てればよかったのに。
全部無料にしてさ。以前のように。
前にも書いたけど、いろんなところで予算を削るようだから、
緊急対策として、補助予算はつけられなかったのでしょうかね。
それとも、国をあげて無料で接種したとして、
万が一重大な副反応が出た時に、責任を取りたくなかったのでしょうかね。

悩みはもうひとつ。
こっちの方が切実です。
基礎疾患のあるお子さんに、小さい弟や妹がいるとします。
でもその子たちは、まだ何も基礎疾患と思える病気は発症してない。
保育園にも行っている。できれば一緒に接種させたいのが、親心。
できればわたしも接種してあげたい。
でも、できない。
大っぴらに行政からの指示を逸脱することは、だめらしい・・・。
ごめんね、お母さん。あと少しだけ、待って・・・。
毎回、苦しい言い訳をします。
子どもに優先順位なんて、どうしてつけるの?
「子ども」というだけで優先じゃないの?
そう思うけれど、地方の行政側も国の方針を逸脱することは難しいらしい。

あぁぁ!!!
いったいこの騒動は、いつまで続くんだろう!

ともかくも、今できることを粛々とこなす、
それしかない・・・。