ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

1960年代の日本の放射線レベルは今より高かった

2011年04月13日 | 東日本大震災

先月、日本赤十字長崎原爆病院の先生の講演が当市であった。
そこで出されたのが、1960年代、まだ東西の冷戦時代、
アメリカ・旧ソ連・中国などがさかんに核実験を行っていた時の放射線レベル。
その頃の日本国内での放射線レベルは、今よりもずっと高かったというのだ。
測定データで見る過去の出来事 (ようこそ「日本環境放射能と放射線」へ より)

4月14日号の「週間新潮」にも、同じことが書いてあった。
やっと、まともな記事にめぐりあった気持ちだ。

そういえばわたしが子どもの頃、雨が降ってきても外で遊んでいると、
「放射能が降って来るんだから、早く中に入りなさい!」と叱られた記憶がある。

でも、わたしは今、元気だ。

この時期の放射線被曝が原因と思われる「がん」を発症した人は、
わたしの同級生も同年代のひとたちにも、わたしの知る限り、まだいない。
今後はどうなるかわからないけれど、少なくとも10代、20代までは無事だった。
なら、これから先、もしもわたしが「がん」を発症するとしたら、
それはもっと別の要素が原因なのだと思う。

がんの発症には、生活習慣や喫煙の影響の方がはるかに高いとされている。

いたずらに数値だけを列記して不安を煽るのではなく、
(もちろん、そういった情報も大切ではあるが)
もっと比較対象できる情報も、同時に提示して欲しいと思う。

福島原発事故は、今や福島県だけの問題ではなく、
日本全体、いや、世界的にも大きな関心事になってしまった。
福島原発じゃなく、「フクシマ」となってしまった・・・。

くやしいけど、それが現実だ。

「フクシマ」は、まだ世界の誰もが経験していない事態だ。
「ヒロシマ」や「ナガサキ」や「チェルノブイリ」のデータで憶測するしかない。
だからみんな、疑心暗鬼になる。

こうなったらあと30年、現役で小児科医を続けてやろうじゃないか。
そして、今の赤ちゃんたちの元気な30年後を、証明してやろうじゃないか。

今、不安を煽っている人たち、福島県民を差別している人たちに、
ほ~れ、見ろ!! 大丈夫だったじゃないか!! と言ってやりたい。

ほんとうに、そう言ってやりたい。