先月、日本赤十字長崎原爆病院の先生の講演が当市であった。
そこで出されたのが、1960年代、まだ東西の冷戦時代、
アメリカ・旧ソ連・中国などがさかんに核実験を行っていた時の放射線レベル。
その頃の日本国内での放射線レベルは、今よりもずっと高かったというのだ。
測定データで見る過去の出来事 (ようこそ「日本環境放射能と放射線」へ より)
4月14日号の「週間新潮」にも、同じことが書いてあった。
やっと、まともな記事にめぐりあった気持ちだ。
そういえばわたしが子どもの頃、雨が降ってきても外で遊んでいると、
「放射能が降って来るんだから、早く中に入りなさい!」と叱られた記憶がある。
でも、わたしは今、元気だ。
この時期の放射線被曝が原因と思われる「がん」を発症した人は、
わたしの同級生も同年代のひとたちにも、わたしの知る限り、まだいない。
今後はどうなるかわからないけれど、少なくとも10代、20代までは無事だった。
なら、これから先、もしもわたしが「がん」を発症するとしたら、
それはもっと別の要素が原因なのだと思う。
がんの発症には、生活習慣や喫煙の影響の方がはるかに高いとされている。
いたずらに数値だけを列記して不安を煽るのではなく、
(もちろん、そういった情報も大切ではあるが)
もっと比較対象できる情報も、同時に提示して欲しいと思う。
福島原発事故は、今や福島県だけの問題ではなく、
日本全体、いや、世界的にも大きな関心事になってしまった。
福島原発じゃなく、「フクシマ」となってしまった・・・。
くやしいけど、それが現実だ。
「フクシマ」は、まだ世界の誰もが経験していない事態だ。
「ヒロシマ」や「ナガサキ」や「チェルノブイリ」のデータで憶測するしかない。
だからみんな、疑心暗鬼になる。
こうなったらあと30年、現役で小児科医を続けてやろうじゃないか。
そして、今の赤ちゃんたちの元気な30年後を、証明してやろうじゃないか。
今、不安を煽っている人たち、福島県民を差別している人たちに、
ほ~れ、見ろ!! 大丈夫だったじゃないか!! と言ってやりたい。
ほんとうに、そう言ってやりたい。