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嘘ですけど、なにか? 木内一裕

初めて読む作家のミステリーだが、文章のテンポが気持ちよく、内容もとても面白かった。嘘も方便と割り切ってバリバリ頑張る主人公のOLが、色々な成り行きで、権力を利用するとんでもない悪人と対決する。登場人物の殆どが善人ではないのだが、結末は何故か正しい方向に向かっていくのがおかしい。もう一つ良かったのは、各章の題名にその部分の主役的な人物の名前がつけられていること。全ページの上部に各章の題名が印刷されていて、とても読みやすかった。ちょっとしたことだが、読者には有り難い工夫だと思う。(「嘘ですけど、なにか?」 木内一裕、講談社文庫)

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うっかり鉄道 能町みね子

書評誌の年末恒例の今年の「雑学本」ベストワンに輝いた鉄道マニアの著者によるエッセイ集だが、とにかく面白い。最初に我が家にとても近いJR鶴見線の話が書かれていて、こんな近くにこんな楽しそうな場所があるのかとビックリし、次の岳南鉄道の話もすぐにでも行ってみたくなるほどの面白さ、そしてその次の「平成8年の奇跡」と「平成22年の死闘」の2編は本書の白眉ともいうべき内容。趣味を楽しむってこういうことだよなぁと思う。読み終えて早速著者の他の作品を検索、あと数冊は読みたい本が見つかって、嬉しくなった。(「うっかり鉄道」 能町みね子、幻冬舎文庫)

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映画 マイサンシャイン

事前知識なしで鑑賞。ハートフルなファミリー映画かと思いきや、アメリカのロス暴動に翻弄される家族を描いたとてもシリアスな作品だった。アメリカの人種問題ばかりでなく、正義とは何かを考えさせられた。

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三人屋 原田ひ香

三姉妹が交代で、朝はモーニング専門の喫茶店、昼はうどん屋さん、夜はスナックという変わったお店を巡る人情話的なストーリー。いつもの本屋さんで何気なく手に取った一冊。あまり期待していなかったが、予想を超えて面白かった。この三姉妹、性格も仕事振りも全く違い、仲も悪いのだが、親の代からのお店を守りたいという気持ちと、自分の生活を何とかしていくという気持ちに折り合いをつけながら、商店街の人々やお店の常連さんと関わっていく。最後に店を残してくれた父親への思いを共有する三姉妹。著者のほかの本も読んでみたいと思う良い一冊だった。(「三人屋」 原田ひ香、実業之日本社文庫)

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