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日本軍兵士 吉田裕

第2次世界大戦の戦中史を、兵士の立ち位置、兵士の目線、日本陸海軍の特性が兵士にどの様な影響を与えたか、という3つの中心に据えて描いている本書。最初の方で記述された戦場における兵士に対する歯科治療事情にまず衝撃を受けた。戦場での兵士の環境の劣悪さは、色々話に聞いてきたし、ある程度想像できると思っていたが、こうした問題があったことは予想も出来なかった。その他、兵士の履く靴の事情、背負った荷物の平均重量、戦線を離脱するための自傷行為、結核の蔓延とそれを利用した兵役逃れなど、想像を超える事実の羅列に圧倒される。著者は自分と同じ戦後生まれだが、そうした我々にも語り継ぐことが出来ることが色々あるのだとしみじみ分からせてくれた一冊だった。(「日本軍兵士」 吉田裕、中公新書)

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