goo

現代詩人探偵 紅玉いづき

著者の作品は、かなり昔になるが、話題になったライトノベル作品があり、それを読んだ記憶がある。その時は、著者のストーリーの面白さに感心した。本書は、著者が初めて挑んだミステリーとのことだが、ミステリーの要素は少ない。後半にどんでん返しがあるものの、その部分を謎だと思っていなかったので、衝撃を受けるという感じにはならなかった。それにしても、本書は、ライトノベル作品とはかけ離れた重たい内容だ。話自体は単純だが、それをここまで読ませる著者の力量は只者ではない。おそらく、著者のライトノベル作品を読んだ編集者のような立場の人が、一般人向けの作品をと言って著者に本書の執筆を進めたのだろう。今回の作品は、読者からみてもやや力が入りすぎている。その力が抜けたところで書かれる第2作目に大いに注目したい。著者の文章の才能は紛れもなく本物のように思われるからだ。(「現代詩人探偵」 紅玉いづき、東京創元社)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )