goo

万能鑑定士Qの謎解き 松岡圭祐

Qシリーズの20冊目、αシリーズと合わせて25冊目という記念出版だという。Qもαも全部読んでいるので自分としても25冊目ということになる。よくも飽きずに読んでいるなぁと感心してしまうが、これまでにもここで書いてきたように、この作者の作品には「飽きさせない」工夫が満載であり、その工夫に私自身もまんまと乗せられてしまっている。今回の作品は、さほど大きな仕掛けのようなものはないが、日中関係の険悪化等の国際問題・時事問題を大胆に取り入れて、これまで以上に今を感じさせるストーリーになっている。大方の謎ときが終わってしまったように思える段階で、「読者への挑戦状」のようなものが挿入されており、「あれっ?」と思うのだが、最後にもう一つびっくりする仕掛けが残されていて、これが「謎とき」というタイトルの意味だったのかと納得させられる。主人公の緻密な論理的な推理に対抗して自分でも「謎とき」を、と思わずに流して読めるのが本シリーズの良さだと思っているので、やや面喰ってしまったが、その「挑戦状」も流してしまえば済む話で、これまでのものと何ら変わるところがないので一安心だ。(「万能鑑定士Qの謎解き」 松岡圭祐、角川文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )