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楽園の作り方 笹生陽子
作者の本は「僕は悪党になりたい」に次いで2作目だが、本書は名作といわれる「僕は…」に負けず劣らず面白かった。その文体や世界は「僕は…」とかなり似通っている。ストーリーとしては、都会育ちで苦労知らずの中学生が親の事情で田舎の分校に転校する、といういかにもよくありそうな話だが、解説に「仕掛けのある小説」とある通り、ある事実が読者に提示された瞬間、読者は全く違う見方をしなければならなくなってしまう。その事実が明らかになった後も主人公の語り口等に大きな変化がないのだが、それが却っていじらしい。中編といった方が良いほど短くて読みやすい本だが、大変面白い小説だ。(「楽園の作り方」笹生陽子、角川文庫)
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