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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里
子供の頃にチェコ・プラハのソビエト学校で知り合った、ギリシャ・ルーマニア・ユーゴスラビアから来ていた同級生との30年後の出会いが語られる3編のノンフィクション。プラハの春、中ソ対立、ソ連崩壊、各国の動乱といった騒乱を経ての再会で初めて明らかになる同級生が抱えていた様々な事情に愕然とする作者の驚きは、読み手である我々にとっても驚きと感動の連続だ。プラハのソビエト学校、私はその存在すら知らなかったが、そこには1960年代に50か国から政治家の子弟が学ぶソ連が運営する学校があったという。50か国の中には、その後で戦争の敵対国になった国もあれば、民主革命で大きく国情が揺れた国もあった。そうしたなかでそこで一緒に学んだ子供たちの友情がどう守られ、どう変質したのか。この本を読むと、20世紀というものが政治の時代だったことを改めて痛感させられるし、敗戦後総じて平和だった日本で生まれたことの有難さが本当に身にしみて感じられる。ノンフィクションの傑作だ。(「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」米原万里、角川文庫)
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