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リピート 乾くるみ

著者の作品を読むのは、かなり衝撃的な読書体験だった「イニシエーション・ラブ」(2008年1月25日紹介)に次いで2冊目だが、こちらも前作に劣らずすごい小説だ。読んでいる最中の面白さという点ではこちらの方が断然上だ。前作は最後の最後に「してやられた」という感じだが、本書は最初から最後までパワー全開で本の中の世界に引き込まれてしまった。それにしてもこの作者ほど、読者の心理を判っていて、それを上手に誘導していく作家はいない。読んでいて完全に手玉に取られている(あるいは取られた)という感触が、その面白さの根源にあるように思われる。帯に書かれた宣伝文句には、「リプレイ」+「そして誰もいなくなった」となっている。私は「リプレイ」という作品を読んだことも聞いたことも無いのだが、おそらく「時間ものSF」の傑作なのだろう。なお、娘に聞いたら、大学の友達にも「乾くるみ」ファンは多いそうだ。若者の読書離れと言われるが、面白い本はやはりちゃんと読まれているのだ。(「リピート」乾くるみ、文春文庫)
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アンディ・ロディック ウェア テニス

ウィンブルドン開催中ということで、少しテニス選手のものを紹介する。最初は、アメリカ出身の男子プロテニスのスター選手、アンディ・ロディックのコレクティブル。4大大会の優勝は2003年の全米オープン優勝の1回のみだが、シングルでは世界ランキングの1位の時期もあった名選手である。現在の男子テニスはフェデラーという傑出した選手がいるので、他の選手が随分割を食っている感がある。このロディック選手などは、シングルスの優勝25回、ダブルスの優勝3回の合計28回の優勝を遂げながらメジャーはたったの1勝ということで、割を食っている選手の最たるものだろう。しかし、テニスを観て楽しむだけの素人の人間としては、あまりロディック選手の試合は面白くないように感じる。男子テニス界では、かつて「ビッグ・サーバー」という言葉があったと思うが、圧倒的なサーブ力で勝利してしまうという、見ている方としてはやや面白くない状況があった。このロディック選手のプレースタイルは、まさに世界最速のサーブ(しかもかなり正確)を武器にしたものであった。因みに、彼の時速155マイルのサーブは、史上最速ということで、ギネス記録に載っているとのことである。テニスのルールによれば、計算上、3回に1回絶対に取れないサーブを打つことができれば、2回に1回はエースをとれてサーブ権を落とさないということで、絶対に負けないということになる。仮に、そうした考えのビッグサーバー同士が対決したとすると、延々とサービスエースの応酬が続くことになり、さすがに観ていて面白くないだろう等と考えたりする。
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