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総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

スポーツ医学入門基礎編

2015-07-21 | 養生訓

今回は「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」からお送りします。

その前にメルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」も宜しくお願いします。

スポーツ医学の扱う範囲はとても広い。故障などが目立つのでスポーツ整形を連想することが多いと思います。しかしながら、スポーツに関連する医学的問題は、内科・小児科・精神心理学など、ジェネラリストの領域に重なるのです。マーチヘモグロビン尿症、鉄欠乏性貧血、バルサルバによる縦隔気腫、などは内科的領域です。メンタルコンディショニング、イップスなどは、精神心理学領域です。ではケースをいくつかみてみましょう。

ケース1:

中学1年生のA君は、野球部でピッチャーをしています。連日投げ込みをしていました。2~3週間前より投球時に右肘痛があり受診しました。

診断:

右肘内側の骨軟骨障害という病気でした。投球をしばらく禁止しリハビリテーションを開始、ストレッチの指導や投球フォームを改善しました。右肘内側の圧痛が消失した後、徐々に投球を再開しました。 

10代はスポーツ傷害が最も多いです。特に成長期の子どもたちは骨端が軟骨で構成されており最も弱く、損傷をうけやすくなります。障害を残すこともあるため、10代のスポーツ障害の早期発見・早期治療そして予防は重要な課題です。

ケース2:

B君は冬になると運動時に息が苦しくなると言います。幼少児に喘息はありましたが小学校以降発作はありません。

診断:

運動誘発性気管支れん縮の可能性があります。適切なウォーミングアップやマスク着用、ベータ2刺激吸入薬の使用で症状を軽減できます。その他、突然死の原因となる心疾患のスクリーニングのため、運動参加前診察が必要となります。

ケース3:

C君の姉は17歳、高校2年生。陸上の長距離選手。駅伝の練習で走り込みが続いていました。1ヶ月前よりランニング時に右足痛があり受診しました。また月経が3ヶ月以上来ていないといいます。

診断:

診察の結果、右第2中足骨の疲労骨折でした。運動量を調整しリハビリテーションを開始しました。運動性無月経、摂食障害、骨粗鬆症は女性アスリートの三徴と言われます。疲労骨折のみならず、摂食障害や運動時無月経にも目を向けたいものです。

ケース4: 

その後A君は中学3年生になりキャプテンとしてチームを引っ張っています。しかしチームワークが悪く結果も付いて来ません。自分の思うようなプレーも出来ず悩んでいます。

診断:

運動選手は様々な心理的プレッシャーを抱えています。心理面は体の状態と切り離せません。心理面への配慮が欠かせず、総合診療医は時にメンタルトレーニングも行います。

では、今回もまた「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」から、スポーツ関連です。

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第1条:10代はスポーツ傷害が最も多い。

第2条:スポーツや運動に伴う問題は筋骨格系が多いが、決してそれだけでなく、内科的な問題や女性特有の問題、皮膚や心理、栄養、薬剤など多岐にわたる。

第3条:総合診療医は、「なんでも相談できるかかりつけのスポーツ医」として、地域でのスポーツ傷害や運動に関する問題を解決できることが期待されている。

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今回は以上です、話変わって、台風12号が一度は消えかかったものの、復活し日本列島に近づいているようです、皆さん天気情報には気をつけましょう、さて、沖縄の話ですが、意外や熱帯低気圧の影響でここ2,3日は荒れた天気になっているそうです、折角の夏休み、晴れたらいいですね、では次回に。

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ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ
徳田安春
西村書店

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