スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(哀悼 沼山光洋氏)

2020-08-07 11:24:28 | 日記
8月7日(金)
 沼山光洋というお名前を初めて知った。昨年5月靖国神社で切腹された方である。理由は上皇陛下が天皇時代に、遂に靖国神社を御親拝なさらなかった。それは、ひとえに自分の誠が足らなかったゆえであり、そのお詫びに切腹するというものであると、拝察する。氏の同志らしき人は、氏が切腹された数日前に、退位後の上皇陛下ご夫妻が始めて外出されたが、行き先はなんと旧友とテニスを楽しむための都内のテニスコートであった。退位後の上皇陛下の初めての外出先は靖国神社である筈だ、この報を聞いて沼山氏は死の決意をしたのではないかと匂わす、述懐をされている。
 沼山氏の切腹に介錯人はいなかったようである。写真で拝察する御年齢は60代半ばに思えるが、まだ血気盛んなのであろう。よくぞ一人で果てられたものだと思う。産経新聞の報道では失血死とあるそうだ。腹を真一文字に切ってもなかなか死ねないそうだ。氏の切腹は早朝とのことだがやがては誰かに見つけられよう。グズグズはして居れない、恐らく最後に頸動脈を切られたのではないか。だから新聞は失血死と書く。
 凄いものだと思う。信念に従って死ぬ人が、しかも切腹という最大限の苦痛が伴う方法によって、だが信念に従う以上これが最上の方法である、現在の世の中にいらっしゃるのである。私などはただただ身が震えて平伏するのみである。
 今満州事変の頃の昭和史の本を読んでいるが、沼山氏の実例を知るにつけ、当時の人々の気迫というか息遣いが、分るような気になってきた。