「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「化野念仏寺」(あだしのねんぶつじ)

2006年02月25日 21時29分28秒 | 古都逍遥「京都篇」
 子供時代に夏ともなれば必ず戯れた遊びの一つに「肝だめし」というのがあったものだが、その肝だめしには格好の場所となるであろう所が、今回紹介する「化野念仏寺」(華西山東漸院念仏寺)である。小倉山の山麓一帯を化野といい、この辺りは都の西の風靡の地(無常所)で、東では鳥辺野が風葬の地であった。徒然草にも「あだし野の露消ゆることなく鳥辺野の烟立ち去らで」と記されている。

 今日の化野は観光地として多くの人が訪れるが、いわゆる無縁仏の墓場。
映画などのロケで登場するようになって、肝だめし的な墓場が、情緒ゆかしき名所と化してしまったようだ。

 化野念仏寺は、弘仁2年(811)、弘法大師(空海)が化野の風葬の惨めさを知り、五智如来寺を建て里人に土葬という埋葬を教えたのが始まりといわれている。後に法然上人がここに念仏道場を作った事から念仏寺というようになった。本堂は江戸時代の始め正徳2年(1712)寂道上人の再建された。
明治36年(1903年)頃に、化野に散在していた8、000体余りの無縁仏、石仏、石像を集め今日の形に供養するようになった。

 「化野」とは悲しみの地、はかない処という意味があり、無常の世界が映し出されている場所でもある。毎年8月23日、24日の地蔵盆には、無数の石仏、石塔にろうそくを灯す千灯供養が行われる。温もりのあるオレンジ色の灯火は、ゆらゆらと儚くも幻想的な風情を漂わせる。
 この千灯供養は予約が必要で、協力金を納めなければならない。午後6時より八時ごろまで千灯供養が行われる。6月15日から受付が始まり、8月23・24日の千灯供養入山の予約受付が始まる(先着2、000名)。

 私の好きなドラマである鬼平犯科帳で、「凶剣」という物語で登場するのが当地で、長谷川平蔵が上洛中という設定となっていたが、化野念仏寺の仏の間をゆく平蔵のシーンがある。
 小説の中では“おかしらは忠吾を連れて愛宕山に登り、下山後「平野や」で鯉の洗いを食す”とある。平野屋とは400年ほど続く鮎や鯉、湯豆腐の老舗で、原作者の池波正太郎氏はここを贔屓(ひいき)にしていたようだ。
 高尾山スカイラインの入り口に近く、こんもりとした山麓に鮎などの川魚料理と嵯峨野名物の湯豆腐を商いとする茅葺の店が数件建ち並んでいる。新緑の頃、紅葉の頃は、これらの老舗を背景に入れた写真に人気があり、写真愛好家にとって、化野念仏寺やこの一帯の景観は人気が高い。

 所在地:京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17。
 交通:JR京都駅より京都バス清滝行1時間、鳥居本より徒歩5分。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 下鴨神社(しもがもじんじゃ... | トップ | 河合神社(かわいじんじゃ) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

古都逍遥「京都篇」」カテゴリの最新記事