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「西芳寺(苔寺)」(さいほうじ・こけでら)

2006年02月13日 01時02分07秒 | 古都逍遥「京都篇」
 京都には名勝と称される庭園が数多く、そのほとんどが古刹寺院に存在する。
京都御所から西に位置する西山から嵐山方面を洛西と呼称するが、その洛西で桂離宮と並び賞される名庭が西芳寺、人呼んで「苔寺」がある。
 向日市から物集街道をたどり嵐山へと向かう途中の奥まった所に、一面苔に覆われた浄土の庭。足利将軍・義満、義政が当寺の瑠璃殿を模して、それぞれ金閣寺、銀閣寺を建てたことは余りにも知られている。

 当寺は、天平年間(729~49)法相宗の寺として、聖徳太子の別荘跡と伝わる地に聖武天皇が行基に命じて建立され、暦応2年(1339)に夢窓疎石を迎えて禅の道場(臨済宗)として再興した。平成6年(1994)12月、世界文化遺産に登録されている。 当寺を訪れると、最初に目につくのは総門であるが、ここは通常開けられることはない。総門の西側に衆妙門があり、ここが入り口になる。門を入り左手に見える屋根の建物が、本堂の西来堂で、昭和44年(1969年)に、500年ぶりに再建された。
 足利義満の頃は現在のような苔は生えていなかったといわれているが、庭園の美しさは広く知られていたようで、義政は東山山荘の作庭に際し、当寺の庭園を模したとされている。その後、応仁の乱でほとんど全ての建物は焼失し、荒れ果てたが、後に、蓮如上人が庭園の復興につとめたといわれている。
 庭園は国史跡・国特別名勝に指定されており、下段の心の字を象る「心字池」を中心とし、4つの島で形成されている池泉廻遊式の庭園と、上段の枯山水の庭園の2つに分かれている。下段の庭園には苔で覆われており、緑の絨毯を敷き詰めたようである。苔の種類は120種余りあるといわれており、池、木立と一体となって、池の周囲を巡ると趣が刻々と変化し、木々の間から差し込む射光に映える一面の苔は、まるで黒澤明監督の映画「夢」の如く、幻想の世界に引き込まれる。時折、間をおいて、シシおどしの「コーン」という音が静寂の中に響き、幽玄の世界を醸し出している。下段の池泉廻遊式庭園に比べ、上段の枯山水庭園は比較的狭いが、日本最古の枯山水。枯山水石組、須弥岩組、座禅石など石と木立による庭園である。

 庭園の南側、総門近くに国指定重要文化財の「湘南亭茶室」が建っている。
 創建時代の建物で残っているのはこの湘南亭だけであるといわれており、千利久の次男である千少庵が再建し、茶室としたとされている。湘南亭は当寺で最も古い建物であろう。幕末に岩倉具視がここに潜伏していたという。

 庭園の拝観は本堂において「写経」すませなければ入庭できず、拝観は、志納料として3、000円を納める(事前予約)。通りがかりでは入れず、また修学旅行などでも拝観する人もいないことからほとんど人影を見ることが無く、ゆっくりと「浄土」の世界を散策することができる寺でもある。そんなことから、ホスピタリティーな癒し系の名庭かも知れない。 
 交通:交通:JR京都駅から京都バス73番で約50分、苔寺バス停下車、
徒歩5分。  
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