「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

花の詩「桔梗」(ききょう)

2023年02月18日 23時50分48秒 | 花の詩

                「廬山寺の桔梗」
 京都の古刹を巡っていると庭に咲く花たちに癒されることがおおくある。
 特に盆地特有の酷暑の夏に、涼やかさを与えてくれる花が桔梗、爽やかな青紫色は清涼感にあふれる。源氏物語で知られる紫式部の邸宅跡として知られ、皇室とのゆかりが深い「廬山寺」の源氏の庭には日本画を描いたように見事に植栽された桔梗が楚々として心を癒してくれる。七条の「智積院」や東福寺塔頭の「天得院」などの桔梗も美しい。 
 花言葉は、「永遠の愛」「気品」、白の桔梗は「清楚」等があり、「永遠の愛」という花言葉がつけられたのは、戦争から帰らぬ夫を10年も待ち続けた若い娘の名前が「桔梗」だったためといわれているほか、その娘の家紋が「桔梗」だったからという説がある。また、平将門とそのお気に入りのめかけであった「桔梗姫」の伝説もある。桔梗姫が敵に平将門の秘密を漏らしたために平将門は殺され、後に自身も悲劇の死を遂げるというミステリーな言い伝えも。

 桔梗は秋の季語で秋の七草の一つでもある。開花時期は6月中旬の梅雨頃から始まり、夏を通じて初秋の9月頃までで、つぼみが徐々に緑から青紫にかわり裂けて星型の花を咲かせる。
 つぼみが風船のような形状であるため英名で "balloon flower" と称されており、花開く前、たしかにふっくらとした膨らみが可愛い。
 「万葉集」で、山上憶良が詠んだ「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌の花」のうちの「朝貌の花」は本種を指しているという。俳句では秋の季語となっている。

 「この紋どころが目に入らぬか!」という台詞は水戸黄門だが、「桔梗の紋」といえば真っ先に本能寺の変をおこし三日天下と称された明智光秀は土岐氏一族で「桔梗紋」として広く知られているほか、美濃の山県一族も桔梗紋を紋所にしている。江戸城には「ききょうの間」や「桔梗門」というのがある。
 また、陰陽師として名高い安倍晴明が使用した五芒星を「桔梗印」と呼び、現在の晴明神社では神紋とされていて晴明神社には桔梗が植えられている。

 「桔梗」の語源は、薬草としての漢名「桔梗」を音読みした「キチコウ」が変化した語で、また桔梗に当てられた漢字は、根が結実して硬直していることから名づけられたといわれ、根はサポニン(オレアナン型トリテルペンサポニン)を多く含むことから古くから生薬として利用されている。鎮咳、去痰、排膿作用があるとされ、代表的な漢方処方に桔梗湯(キキョウカンゾウ)があり、炎症が強い場合には石膏と桔梗の組み合わせがよいとされ、処方例として小柴胡湯加桔梗石膏がある。また、薬用成分のサポニンが昆虫にとっては有毒なため駆除薬としても使われている。

             「天得院の桔梗」
【俳句】
◇「若狭路や 桔梗にそゝぐ 雨細く」(鈴鹿野風呂)
◇「せわしなや 桔梗に来 り菊に去る」(正岡子規)
◇「桔梗活けて しばらく仮の 書斎哉」(正岡子規)
◇「銅瓶に 白き桔梗を さゝれけり」(正岡子規)
◇「八ヶ岳 雲にうかべる 野の桔梗」(水原秋櫻子)
◇「桔梗の しまひの花を 剪りて挿す」(高濱虚子)
◇「好きな 人同じ桔梗に立ち止まる」(岩田由美)
◇「霧ごめに 咲くきちかうは 地の星」(栗生純夫)
◇「桔梗の花 咲時ポンと 言そうな」(加賀千代女)
◇「日のかげり そめしおもほゆ 桔梗かな」(久保田万太郎)
◇「霧の香に 桔梗すがるゝ 山路かな」(飯田蛇笏)
◇「むつとして 口を開かぬ 桔梗かな」(夏目漱石)
◇「山茶花を 旅人に見する 伏見かな」(井原西鶴)
◇「また逢へた 山茶花も咲いてゐる」(種田山頭火)
◇「山茶花の 木の間見せけり 後の月」(与謝蕪村)

【和歌】
◇「朝顔は 朝露負(お)ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ」(万葉集/作者不詳)
◇「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝貌(あさがほ)の花」(万葉集/山上憶良)
◇「臥(こ)いまろび 恋ひは死ぬとも いちしろく 色には出(い)でじ 朝顔の花」(万葉集/作者未詳)
◇「白木槿 咲きしばかりの 清しきを 手に取り持ちて 部屋に帰り来」(斎藤茂吉)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「四苦八苦」 神と仏と | トップ | 少し休みます »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

花の詩」カテゴリの最新記事