藤田佳久,愛知大学 編,『東亜同文書院・中国調査旅行記録 第3巻 中国を越えて』,大明堂,1998.
東亜同文書院というのは、1901年上海に開設された日本人向け実務学校、清国(のちに中華民国)との貿易を研究し、実務を学ぶ全寮制スクールである。
このシリーズは、東亜同文書院学生による「大旅行」、つまり最終学年の修学旅行、フィールド・ワーク旅行の記録を集めたもの。
この第3巻には、第24期から25期までの旅行の記録から収録されているが、時代は1927年から30年、つまり、1931年の満洲事変の直前で、東南アジア方面の旅行記録が収録されている。
原文はなにしろ、日記であるので、そうとうに読みにくい。
編者により、誤字脱字をなおし、段落と句読点を加え、小見出がつけられている。
これでだいぶ読みやすくなったとおもうが、それでも、昭和初期の文体で、漢字とカタカナ文などもあり、骨がおれます。
第1章 雲南奥地からビルマへのコース
第2章 南支(華南)より安南(ベトナム)へのコース
第3章 安南からカンボジアへのコース
第4章 カンボジアからマレーへのコース
第5章 フィリピンへのコース
第6章 ジャワからスマトラへのコース
第7章 台湾、安南からシンガポールへのコース
第8章 『中国を越えて』をめぐって
良くも悪くも、若い連中が、まちにまった大旅行をするぞお、という気概にあふれる内容である。各地に学生をサポートする現地法人や商社のネットワークができていたようで、その線にそって旅行しているというかんじ。雲南~ビルマルートなど、困難な道中であるが。
全旅行記を通じて、すごい、と思ったのは、イミグレーション・関税・検疫・警察や当局への届出、通貨・両替をしっかり記録していることである。
官製の旅行をした記録には、以外とこの点が抜けているのである。
チャイニーズの反日・排日運動が高まっていく時代で、不穏な空気がただよう地域もあるが、それでも、一応日本人はどこへでも行けたのだ。
シナ人に関しては、特に彼らの観察は鋭いし偏見も少ない。なんせ北京官話ができる学生たちであるから(そのための学校だ)、言語も通じる。(ただし相手が官話をしゃべれば、それに英語も勉強している。)東南アジアの華人は必ずしも敵対的ではないし、日本人旅行者に親切である面も多々ある。
東亜同文書院に関しては、いろいろ評価が揺れているらしい。
日本の軍事侵略の先棒を担いだとか、逆に、日本の軍事侵略のため、せっかくの研究が無駄になった、優秀な人材が失われた……などなど。
東亜同文書院というのは、1901年上海に開設された日本人向け実務学校、清国(のちに中華民国)との貿易を研究し、実務を学ぶ全寮制スクールである。
このシリーズは、東亜同文書院学生による「大旅行」、つまり最終学年の修学旅行、フィールド・ワーク旅行の記録を集めたもの。
この第3巻には、第24期から25期までの旅行の記録から収録されているが、時代は1927年から30年、つまり、1931年の満洲事変の直前で、東南アジア方面の旅行記録が収録されている。
原文はなにしろ、日記であるので、そうとうに読みにくい。
編者により、誤字脱字をなおし、段落と句読点を加え、小見出がつけられている。
これでだいぶ読みやすくなったとおもうが、それでも、昭和初期の文体で、漢字とカタカナ文などもあり、骨がおれます。
第1章 雲南奥地からビルマへのコース
第2章 南支(華南)より安南(ベトナム)へのコース
第3章 安南からカンボジアへのコース
第4章 カンボジアからマレーへのコース
第5章 フィリピンへのコース
第6章 ジャワからスマトラへのコース
第7章 台湾、安南からシンガポールへのコース
第8章 『中国を越えて』をめぐって
良くも悪くも、若い連中が、まちにまった大旅行をするぞお、という気概にあふれる内容である。各地に学生をサポートする現地法人や商社のネットワークができていたようで、その線にそって旅行しているというかんじ。雲南~ビルマルートなど、困難な道中であるが。
全旅行記を通じて、すごい、と思ったのは、イミグレーション・関税・検疫・警察や当局への届出、通貨・両替をしっかり記録していることである。
官製の旅行をした記録には、以外とこの点が抜けているのである。
チャイニーズの反日・排日運動が高まっていく時代で、不穏な空気がただよう地域もあるが、それでも、一応日本人はどこへでも行けたのだ。
シナ人に関しては、特に彼らの観察は鋭いし偏見も少ない。なんせ北京官話ができる学生たちであるから(そのための学校だ)、言語も通じる。(ただし相手が官話をしゃべれば、それに英語も勉強している。)東南アジアの華人は必ずしも敵対的ではないし、日本人旅行者に親切である面も多々ある。
東亜同文書院に関しては、いろいろ評価が揺れているらしい。
日本の軍事侵略の先棒を担いだとか、逆に、日本の軍事侵略のため、せっかくの研究が無駄になった、優秀な人材が失われた……などなど。