『世界の言語政策 第2集』,くろしお出版,2007.所収
インドも中国と同じく、国の大きさと人口を考えると、言語構成は単純である。
〈憲法第8附則指定言語〉という制度がある。
1968年公示「1968年公用語決議」により、ヒンディー語と他言語の共生を謳った政策である。
この指定言語の地位を得ると、連邦政府の公務員試験をその言語で受けられる、各州の公用語に採用できる。各州の公用語に採用されると、学校教育や公務員試験に使用され、裁判所でも使用される可能性がある。(実態は各州によって異なるが。)
それで、当初の14言語から2006年で22言語まで指定言語が増加している。
現在、指定を獲得する運動がある言語がさらに15あるそうだ。
実際の運用状況をみると、インド人の80%はモノリンガルであって、二言語を使用する人の大部分は、自分の母語と英語であるようだ。
つまり、母語もしくは州の第一公用語以外の他のインドの言語を学習する人はほとんどいない。
指定言語の地位を占めるようなインド内の大言語を学習しなければならないのは、ほんとの少数派言語母語話者である。
というわけで、英語が第一の共通語になる。(なお、州や連邦直轄地で、英語を公用語にしているところもある。)
*****
ええと、わたしも誤解していた
ヒンディー語とヒンドゥスターニー語の関係について。
ヒンドゥスターニー語というのは、独立当初、ガンディーやネルーが公用語にしようとした、ウルドゥー語とほとんど同じ俗っぽいリンガ・フランカである。
ちょうど、俗っぽいマレー語がマレーシア語・インドネシア語として国語に採用されたように、独立当初の指導者は、リンガ・フランカとしてのヒンドゥスターニー語を公用語にしようとした。
ところが、ヒンディー語推進派がインド・パキスタン分離後に優位になり、サンスクリット語を取り入れた由緒正しい(当然人工的な細工であり、伝統の捏造であるようだ。)ヒンディー語が公用語になりそうになった。
しかし、タミル・ナードゥ州の反ヒンドゥー語運動の激化により、公用語化に歯止めがかかる。
そして多言語の共生という政策になった。
と、いうわけ。
で、一方、ヒンドゥー語は映画とともに大衆にひろがり、つまり、ヒンドゥー語母語地域以外にも広まり、期せずして、独立当初のヒンドゥスターニー語のような共通語の性格を持ちつつある、ということ。
しかし、書き言葉、教育や第2次産業の言語として、ヒンディー語もヒンドゥスターニーも未成熟であり、結局は英語か……というのが現状であるようだ。
インドも中国と同じく、国の大きさと人口を考えると、言語構成は単純である。
〈憲法第8附則指定言語〉という制度がある。
1968年公示「1968年公用語決議」により、ヒンディー語と他言語の共生を謳った政策である。
この指定言語の地位を得ると、連邦政府の公務員試験をその言語で受けられる、各州の公用語に採用できる。各州の公用語に採用されると、学校教育や公務員試験に使用され、裁判所でも使用される可能性がある。(実態は各州によって異なるが。)
それで、当初の14言語から2006年で22言語まで指定言語が増加している。
現在、指定を獲得する運動がある言語がさらに15あるそうだ。
実際の運用状況をみると、インド人の80%はモノリンガルであって、二言語を使用する人の大部分は、自分の母語と英語であるようだ。
つまり、母語もしくは州の第一公用語以外の他のインドの言語を学習する人はほとんどいない。
指定言語の地位を占めるようなインド内の大言語を学習しなければならないのは、ほんとの少数派言語母語話者である。
というわけで、英語が第一の共通語になる。(なお、州や連邦直轄地で、英語を公用語にしているところもある。)
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ええと、わたしも誤解していた
ヒンディー語とヒンドゥスターニー語の関係について。
ヒンドゥスターニー語というのは、独立当初、ガンディーやネルーが公用語にしようとした、ウルドゥー語とほとんど同じ俗っぽいリンガ・フランカである。
ちょうど、俗っぽいマレー語がマレーシア語・インドネシア語として国語に採用されたように、独立当初の指導者は、リンガ・フランカとしてのヒンドゥスターニー語を公用語にしようとした。
ところが、ヒンディー語推進派がインド・パキスタン分離後に優位になり、サンスクリット語を取り入れた由緒正しい(当然人工的な細工であり、伝統の捏造であるようだ。)ヒンディー語が公用語になりそうになった。
しかし、タミル・ナードゥ州の反ヒンドゥー語運動の激化により、公用語化に歯止めがかかる。
そして多言語の共生という政策になった。
と、いうわけ。
で、一方、ヒンドゥー語は映画とともに大衆にひろがり、つまり、ヒンドゥー語母語地域以外にも広まり、期せずして、独立当初のヒンドゥスターニー語のような共通語の性格を持ちつつある、ということ。
しかし、書き言葉、教育や第2次産業の言語として、ヒンディー語もヒンドゥスターニーも未成熟であり、結局は英語か……というのが現状であるようだ。
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