東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

高島俊男,『漢字と日本人』,文春新書,2001

2008-01-25 19:42:35 | 基礎知識とバックグラウンド
前項の橋本萬太郎の竹内好・倉石武四郎のとらえかたでは、おそらく、あくまでわたしのかんじで、同じような立場ではないだろうか。この高島俊男という方は。

つまり、竹内好の理想もわかるが実現不可能である。
倉石武四郎の孤軍奮闘はあっぱれであり、尊敬もするが、パイオニアとしてのムリがあったのでは。
以上、『独断!中国関係名著案内』,東方書店,1991.などから得たわたしの独断ですが。

さて、この新書。
ぱらぱらよみかえすつもりが、一気に通読してしまった。
それほど読みやすい、わかりやすい。

もちろん、ここに書いてあることは常識の部類である。
しかし、絶妙の例をひいて高島節で語られると、じつによく理解できる。

言語学者は頭がキレすぎて、博識すぎて一般読者をおいてけぼりにしがちだし、国語学者は頭がごちゃごちゃして、こちらも一般読者にわかりにくい文章になりがちだが、高島さんのこれは、バランスよく親切。
本書の内容がわからない人、読めない人は、ことばのこと、日本語のことを語るのはムリでしょう。

ただし、基本中の基本を押さえた新書であるので、もれた問題、積みのこしたテーマ、それに高島さんが関心ない領域も多いとおもう。