◎末松太平事務所(二・二六事件異聞)◎ 

末松太平(1905~1993)。
陸軍士官学校(39期)卒。陸軍大尉。二・二六事件に連座。禁錮4年&免官。

◎鈴木邦男編著「証言・昭和維新運動」のこと◎

2021年04月09日 | 末松建比古
◎新しく誕生した「板橋区中央図書館」に失望したことは 前々回に記したとおりである。
※それでも懲りずに「末松太平」で検索すると、次の二冊だけが閲覧可能であった。
残念ながら「私の昭和史」は みすず書房版も 中公文庫版も 全く相手にされていない。

①・《「ドキュメント日本人3・反逆者」学藝書林・1968年刊》
②・《鈴木邦男編著「BEKIRAの淵から/証言・昭和維新運動」皓星社・2015年4月刊》
・・・①については 先日「自伝・西田派青年将校・師弟連載」で紹介したばかりなので 少し驚いた。
・・・②については 中央図書館ではなく「東板橋図書館に在る」ということであった。



※数日後 雨がシトシト昼下り。ウオーキングを兼ねて「東板橋図書館」に出掛けた。
東板橋図書館の「分類・日本史」は(中央図書館と比べれば)それなりに充実していた。
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◎《鈴木邦男編著「BEKIRAの淵から/証言・昭和維新運動」》
※この本は「昭和維新運動の当事者=9名」に「三十代に入ったばかりだった鈴木氏」がインタビューした記録である。
初出=1974年秋「やまと新聞」に8週連載。
その後《鈴木邦男編著「証言・昭和維新運動」島津書房・1977年2月刊》として結実。
更に「重版~絶版」の長い歳月を経て 2015年「復刊=皓星社版」に到っている。

《第一部★9名の証言者》老壮会=嶋野三郎/三月事件=清水行之助/血盟団事件=小沼広晃/五・一五事件=川崎長光/神兵隊事件=片岡駿/士官学校事件=茨木一馬/二・二六事件=末松太平/元血盟団=重信末夫/三上卓門下生=青木啓。
《第二部★3組の対談鼎談》①赤尾敏+津久井龍雄+猪野健治/②影山正治+三上卓+毛呂清輝/③野村秋介+鈴木邦男。
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※《二・二六事件=末松太平》は P145~P165に記されている。末松太平インタビューの部分は(とりあえず)割愛。編著者の「解説」だけ引用しておく。鈴木邦男氏の「心情」が良く伝わる文章だと思う。長くなるが 御容赦いただきたい。

・・・「私の昭和史」は、昭和維新運動について書かれたものの中で、ひときわ抜きん出ている。決起者の思い詰めた気持ち、当時の情況が実に良く書かれている。「記録」でありながら、優れた「文学作品」になっている。三島由紀夫も、この本を手放しで絶賛している。この本に出会ったために、二・二六事件の虜になり、自らも二・二六事件をやろうとしたのかも知れない。それだけの魅力、いや魔力を持った本だ。
・・・末松さん自身もそうだ。不思議な人だ。僕は会うたびに叱られたし、議論を吹っかけられた。「右翼とか民族派なんて自分で言う必要はないでしょう」とピシャリと言われた。概念規定を急ぎ、自分で自分を局限する必要はないと言う。「それとも、そのレッテルがなければ、人生さみしいですか」と言う。はっきりいって、この時は「ムッ!」とした。二・二六事件の関係者だというから、こっちは聞いているのに、そんな罵倒はないだろう、と思った。もし今、二・二六事件をやるとしたら「公害反対一本でやるよ」と言った。聞くことに対して、すべてはぐらかしている気がした。当惑し、疑問を持ち、反発し・・・、その連続だった。適当にあしらわれた、と思った。

・・・しかし、違った。当時の自分は、あまりに未熟だった。今考えると、末松さんの言っていたことは当然だし、本当だった。「俺は右翼だ」と構えて会いに行った僕が間違っていたのだ。その証拠に、今は「昔、末松さんに言われたが」と、末松さんの言葉をよく紹介している。そして、自分でも再確認している。
・・・2011年の東日本大震災の後、右翼からも原発に反対する動きがあった。「右からの脱原発デモ」も行われるようになった。「自然を守れ・山紫水明・天壌無窮」と言った末松さんの言葉を思い出して、僕は参加した。同じような動機の人がたくさんいた。末松さんの指摘は、今でもあてはまる。いや「四十年後の日本人」に言っていたのかも知れない。      
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★参考までに 板橋区内図書館の検索状況を報告しておく。
※「河野司」関連=4件。「二・二六事件」関連=84件。「半藤一利」関連=282件。「保阪正康」関連=232件。
・・・ これはもう 苦笑するしかないですね。(末松)
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