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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

歌枕

2013年10月15日 | 日々のあれこれ

 和歌の授業で「歌枕」を教えた。
 和歌に詠み込まれるお約束の地名を「歌枕」と言います。
 「逢坂山」「吉野山」「竜田川」「白川の関」 … 。その言葉を用いることで、ある程度きまったイメージが説明しなくてもわいてくる地名ですね。
 今で考えてもあるよね、なんとなく歌の歌詞になりそうな地名と、そうじゃないのと。
 「川越」は無理すれば歌詞になるかな、でも、銀座とか六本木とかに比べると地名インパクト弱いよね。
 ファンモンの歌で「八王子ーの、南口ーの」ってあったけど、あれは新しい感覚だな。

 なんてことを教えたあとふと思い浮かんだ。
 ニューミュージックの仕事は、「歌枕の見直し」だったのではないか。
 吉野山で桜を見、白川の関で秋風を感じた日本人の感性は、現実にそういう体験をすることより、観念の世界のものになっていった。
 昭和歌謡の歌詞に歌い込まれていた数々の地名も、歌枕と同様に、なんとなくのイメージを日本人が描くものになっていた。
 銀座の柳を楽しみ、赤坂で別れた人と再会する。はるばる函館へ出かけ、津軽海峡で涙する。
 日本人のお約束の感慨を描いてはいるが、若者たちが今ここで生きている自分のものとしては感じ取れなかった。
 そんなとき、風呂桶をもって神田川沿いを歩いたり、中央高速をドライブする風景が歌になりはじめる。
 もちろん地方で暮らす若者にとって、それはイメージでしかなく、実際に経験する人は少ない。
 しかし、それまで歌われなかった場所が歌われる。
 これこそ、自分たちの求めていた歌だ、おれたちの生活が思いがそこにある、と感じたのではないか。
 
 全然話変わるけど、代ゼミの漆原先生の参考書で、縁語の説明にこんなのがあったと思う。
「君のハートにナイスショット!」と言ってプロポーズするのは石川遼くん。
 その人だから、あえてその言葉を用いる技法は縁語です、と。
 思い出したので、今日はそれをまねしてみた。
 さて、問題です
「君のハートにナイスシュート!」というセリフで彼女にプロポーズするのは誰でしょう。
  ① イチロー ②石川遼 ③前園
 ちょっと気を引けたけど、説明自体はいつもの斉藤由貴「卒業」の方が「なるほど」という顔をしてくれた。
 今朝は、前園選手に対するタクシー会社の言葉をニュースを車のなかで聞いて、号泣した。

コメント
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