wakabyの物見遊山

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(哺乳類進化研究アップデートはしばらくお休み中)

大哺乳類展3

2024-05-04 08:01:36 | 博物館・科学館・図書館

国立科学博物館で開催中の「大哺乳類展3」を見てきました(2024年4月21日)。

「大哺乳類展3」はその名の通り、シリーズ3回目の展覧会で、会期は2024年3月16日~6月16日です。ゴールデンウィーク中は混むことが予想されたので、その前に見に行ってきました。それでも混んでましたけど。

 

今回のテーマは「分類(=わける)」と「系統(=つなぐ)」。見た目や内部の特徴、DNAなどをもとにグループ分けし、それらの関係性をつなぎあわせることで浮かび上がってくる哺乳類の不思議に迫るということです。

 

中耳にある3つの耳小骨のうちの2つ、ツチ骨とキヌタ骨は、哺乳類の祖先の哺乳形類では顎関節の骨だったのが、進化して哺乳類になるとき移動して耳の骨になったということです。この展覧会を見に来た人たちのどれくらいの割合の人がこの説明を理解できたかわからないような細かい話ですが、哺乳類進化学では、この分野の論文がトップ・ジャーナルのネイチャー誌に掲載されるような、近年のトピックスの一つです。

 

アジアゾウの心臓。

 

シロナガスクジラの心臓のレプリカ標本。高さ166㎝の大きさ。

 

ネズミやモグラの仲間と思われていた動物たちは、最近の分子生物学的な分類法では、大きく3つの仲間に分かれるという説明。左のほうのピンクのカテゴリーはアフリカ獣類というゾウなどを含む仲間、真ん中の水色のカテゴリーはローラシアテリアというライオンやクジラなどを含む仲間、右のほうの黄緑のカテゴリーはユーアーコンタグレリスという霊長類などを含む仲間に含まれるということを示しています。こういうことを、これを見に来た小学生たちはわかったのだろうか。

 

クジラの祖先パキケトゥスはこんなイヌのような姿をしていました。これがクジラのような流線形の姿に進化するとはなかなか想像がつきません。

 

カモノハシのくちばしの部分の骨は中央部分があいていて独特な形です。

 

オオカミは大きいです。

 

皮膜をもって滑空する動物は各種います。

 

翼手目、コウモリの仲間はみな悪魔的な姿をしていますが、動物の血を吸うのは一部の仲間だけです。

 

ここからは約200点の標本を並べた「哺乳類大行進」を見ましょう。

最後はミナミゾウアザラシ。

 

クジラの胃。

ヤギ(左)とキリン(右)の胃。クジラも、ヤギ・キリンも鯨偶蹄目として同じ仲間ですが、胃が複数の室に分かれているところは共通点ですね。

 

過去の大哺乳類展は、1回目が2010年、2回目が2019年の開催。

 

哺乳類研究の先駆者たち。アリストテレスは胎生の有血動物として哺乳類を定義しました。

 

リンネは哺乳綱の中身を細分化しました。

 

オーウェンは形が似ているものを、相同と相似に分けて考えるようにしました。

 

ダーウィンの「種の起源」の原書。

 

最近の分類学では、種の定義が揺らいでいるなんていう説明もありました。かつては、地域ごとに住む亜種とされていたものを、それぞれ種として格上げする傾向があるとのことです。