山種美術館の速水御舟展はずっと前から楽しみにしてたので、展覧会初日に行ってきた。
速水御舟を好きになったのはここ数年のことだけど、何度も足を運んでいるので、これが何度目かの再会、という作品がいくつもある。にもかかわらず、どの作品もそれぞれ新鮮な感動をもたらすことが不思議。
(何度聴いても「こんな旋律だったっけ!?」と毎回心を掴まれるベートーベンの曲のようだ)
最初の展示は「鍋島の皿に柘榴」
ザクロのみずみずしいツヤに釘付け。
(この数日後、住宅地を歩いていたらちょうどこれと同じ実がたくさんなっている木を見つけた。まさにこの季節の絵だったのね)
「木蓮(春園麗華)」
墨一色なのに驚くほど鮮烈な印象を受けた絵。
たぶん今回初めて見る「名樹散椿」。胸に迫りくる絵だった。
うまく言えないけど、「絵を見ること」を超えた感覚を覚えた。
この迫力に押されたのか、隣の「翠苔緑芝」はこの日はあまり印象に残っていない。
「桃花」は娘の初節句に描いた絵。この絵も好きで、A4サイズに印刷されたものを買って額に入れてるけど、久しぶりに実際の絵を見ると(当たり前だけど)色の濃さや質感が全然ちがう。あたまのなかの絵(=印刷された絵)の記憶を補正するために、ほんものをじっくり見てきた。
「灰燼」は関東大震災の後に描いた絵で、解説によるとキュビズムの影響がみられるとのこと。こんな絵も描くんだ。
「炎舞」は、この絵のために設計したという小さな展示室で再会。初めてみた時の感覚は今もはっきりと覚えている。好きというよりは畏怖に近い感情で眺めてしまう絵。火の粉が舞う部分はとくに見入ってしまう。
展覧会は12月4日まで。途中で展示替えもあるので、あと1~2回は足を運ぶつもり。