6月25日までパナソニック汐留ミュージアムで開催してた「日本、家の列島」展。
フランス人建築家たちがみた日本の家の写真や模型やインタビューを展示することで、日本における家の位置づけを考えてみましょう、という展覧会。閉展直前に慌てて出かけたので、会場内はとても混雑してた。
施主や建築家の方が何を考え、どんな家にしたかったか、何にこだわったのか。模型や写真を見ながら読むインタビューはとても面白かった。
とはいえ、それぞれの家について施主や建築家の想いが熱く語られるので、(すべての展示をじっくり見ることは諦めて気になる家に絞ったのに)会場を出たあとはドッと疲れを感じた。施主がこだわりぬいたお宅にお邪魔すると、見てこちらもたくさん感動して心地よい疲労感を覚えるものだけど、今回の展覧会は例えていうなら「こだわりが束になって一度に襲ってきた」ようなものだから、そりゃ疲れるわけだ。
会場入口に流れていた約12分の紹介映像について。
企画者の視点やコメントがとても興味深かった。でも展示を見終わってみるとコメントの大半はあまりピンとこなかったかも。「周辺環境との調和」?「(周囲から孤立するヨーロッパの家と違って)家のあり方が複合的」?うーむ。「狭い空間を巧く活用」これは同意。
それにしても、少なくない施主が「建築家に頼んだ理由」として「ハウスメーカーの家は嫌だった」と答えていたのが印象的だった。あと「生活感」を嫌がる人もちらほら。(機能性とデザイン、どちらをどれだけ優先させるかの個人の好みの問題だけど、そこまでハウスメーカーを毛嫌いしなくても…と私は感じた)
個人的に気に入ったのは「隙間のある家」。厚い壁を2枚、隙間を空けて並べたようなデザイン。機能性無視、こだわり最優先、の姿勢が潔い。
この家の模型を見てたら、そばにいたカップルの会話が聞こえてきた。
「俺、この家の施主に会ったことあるかも」へええ
「建築家に設計を頼みたい人のための相談会があって、」そんな相談会があるんだ
「そこで施主の人に会ったの。」うん
「ちょうどこんなふうに隙間のある家だったから、たぶん同じ人だと思う。」うんうん
「それで施主の人に『雨の日はどうするんですか?』って聞いたら、」聞いたら?
「『濡れます。』って答えたの。」!!!
私もびっくりしたけど、その人もすごく衝撃を受けたのだろう、大事なところを繰り返した。
「『雨の日はどうするんですか?』って聞いたら、『濡れます』って」
隙間のためには雨にも風にも負けちゃいかんのだな。
この名言のおかげで、展覧会全体の疲れや違和感が少しだけ緩和された気がする。