
タイトルのとおり、フィンセント・ファン・ゴッホが友人や弟に宛てた手紙。
上中下の3巻あり、上巻は友人ベルナール宛て。中・下巻は弟のテオ宛て。
手紙から感じるゴッホの印象は、
これまで勝手に思い描いていた「悲惨で薄幸」とはかなり異なる。
自分は絵を描いて生きていく。色彩に重点を置いて描いていく。
当面の間は認められないと思うけど、きっといつか認められるはずだ。
という、揺るぎない強い意志が文面に漲っている。
自分の進むべき道がしっかり定まって、迷いがない人の文章は
清清しくて気持ちが良い。
もうひとつ驚いたことは、日本に対する憧憬や尊敬の念が
手紙のあちこちに出てくること。
自分のルーツであるオランダと同じくらいの頻度で
日本の風景、日本の陽光、日本人画家の絵に言及している。
南仏に移り住んだのも、日本の風土に近いところを求めた結果らしい。
(ほんとは日本に行きたかったけど遠すぎるから南仏でいいか、みたいなニュアンスだった。
これにはびっくり。妥協した結果が南仏だったのか・・・)
上巻、中巻と読んできて、そろそろ下巻に入るところ。
ゴッホはアルルの家でゴーガンを迎える準備をしていて、
手紙の文面も希望と期待に満ちている。
事実としての結末は知っているけれど、
当の本人がどのような心境の変化を辿ったのか、
それが文面にどう表れるのか、気になるところである。