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中村紘子「チャイコフスキー・コンクール」

2007-03-12 23:00:48 | 読む

審査員としてチャイコフスキー・コンクールに参加した著者が、
コンクールやピアノという題材をとおして
国際情勢・社会情勢を深く鋭く温かくユーモラスに描き出していく。

単に「コンクールの舞台裏みせます」だけではなく
時間や空間を自在に動いていく視点が魅力的。

20年ちかく前に書かれた本だから、
ソビエト連邦とか安倍外相(今の首相の父親)とかの
歴史を感じさせる記述も出てくるけれども、
視点や思考の古臭さは全く感じない。


こんなに面白い本なら出版直後に読んでおくんだったなー
と軽ーく後悔したのでした。



チャイコフスキー・コンクール -ピアニストが聴く現代-
中村紘子・著 / 中央公論社




宮本輝「にぎやかな天地」

2007-03-06 23:57:37 | 読む

ストーリー展開が見事で、退屈することなくどんどん読み進められる。

それに加えて、小説の根底に脈々と流れる作者の信念が
作品に厚みと力強さを与えている。

時間的・空間的に広く深い視野をもった作品だと思う。

(「むかし好きだった作家」という冠は、いったん撤回しよう。)



にぎやかな天地 (上・下)
宮本輝・著 / 中央公論新社


「無銭優雅」に「風が強く吹いている」

2007-02-17 23:58:56 | 読む
ブックカフェにて。


前に読んだ「風味絶佳」の続きを読もうと思ったのに、在庫なし

なので同じ作者の新刊「無銭優雅」を読み始めた。

まだ半分くらいしか読んでないけど、
今のところ、これといった事件や出来事はない。
で、何が書いてあるかというと、主人公が終始のろけまくっている。

のろけてるのに、テンポがいい。
アホなことぬかしてるのに、聡明なかんじ。
能天気なようでいて、微かな傷を隠し持ってるような。

とにかく文章にぐいぐい引き込まれて、
飽きることなくガーッと読み進めた。

(でも「風が強く吹いている」も読みたかったので、
 今回は1時間で切り上げた。)


「風が…」は前回の続き。
普通の大学生たちが箱根駅伝を目指すお話。
頭で考えればありえない話(にちがいない)を
「もしかしたら、ありうるかも」と思わせてしまう手腕はさすが。


山田詠美も三浦しをんも、
文章が潔くて余計な湿っぽさが無いから好き。