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叙情と理論と感傷と

2009-08-23 00:20:00 | 読む
この夏は福岡伸一にどっぷり漬かってます。


ときどき覗くブログで「生物と無生物のあいだ」が紹介されていた。
その後、本屋で平積みになっているのを見かけて購入。

新書だし、とっつきやすいタイトルだし、
「軽い文章で書かれたやさしい科学エッセイ」かな、と思いきや
最初の数ページで浅薄な先入観が見事に覆った。

こんな叙情的な文章を書く科学者がいるなんて!

言葉遣いや文章の佇まいが独特で、すごく文学的。
文章そのものが心地よいなんて、このジャンルの本では初めて。


中身は難しかったけど、文章が好きだったので
わからないなりに読み進めていたら、
終盤にさしかかったある瞬間にパッと視界が開けた。

これまで読んできた個々の章の内容が
ひとつの大きなうねりになって、
本のテーマが浮かび上がった。
あの章の内容も、この本のタイトルも、
「そういうことだったのかー!」と一気に納得。

文章だけじゃなくて構成力も凄い。


「生物と…」の読後まもなく「世界は分けてもわからない」を購入。
こちらは「生物と…」よりも読みやすい部分が多く、さくさく進んだ。
コンビニ弁当の章は特にわかりやすかったし、
第9章以降はドキドキしながら最後まで疾走するごとく読んだ。


最新の著書を読み終えた今は、図書館で過去の著作を借りてきて
せっせと読んでます。



それにしても。
今年は浅田次郎に福岡伸一と、
文章の名手に2人も出会ってしまった。
「この人の本を全部読みたい!」と思えるような人なんて
滅多に会えるもんじゃない。
文学的出会いの当たり年というか。
ひょっとして、あと1人や2人、
すごい作家or文筆家に出会えるんじゃないか!?

読まず嫌いは封印して、手当たり次第にいろいろ読んでみようかな。




日々どっぷり浅田漬け

2009-04-12 22:00:11 | 読む
今年の1月に浅田次郎の「蒼穹の昴」を借りた。


西太后の宦官を務めた人の話、ときいて
ふうん中国の歴史モノかぁ、という程度の気持ちで読み始めたら
最初の数行でいきなり話に引き込まれてしまった。

寝る前にベッドの上で読むと止まらなくなりそうだったので
通勤電車の中限定で毎日少しずつ読むことにした。

朝の混み合った時間でも、夕方のせわしない車内でも、
ひとたび本を開けば目の前には19世紀末の中国が広がる。

おかげで通勤電車に乗るのが楽しみになった。
日曜の夜も例外ではなく(むしろ思いは強まる)、
「早く本の続きを読みたい!」と思いながら眠りについたものだ。
(月曜の朝を心待ちにするなんて、サザエさんもびっくりだ。浅田次郎おそるべし)

文庫本4冊分の大作を1か月かけて読み終え、
その後は「メトロに乗って」、「プリズンホテル(夏)」、
「勇気凛々ルリの色」を経て現在は
「日輪の遺産」と「珍妃の井戸」を併読中。




この人の書く小説は、
ジャンルや時代や場所が全然ちがうにもかかわらず
「その場の空気」を見事に醸し出す。

よくもまあここまで臨場感あふれる文章を生み出せるもんだ。
エッセイも一編一編ちゃんと書いてる感じで、かつ面白いし。


ひとりの作家にここまではまりこんだのは宮本輝以来、十数年ぶり。
貴重な出会いに感謝しつつ、浅田漬けの日々が当分続きそうです。




読書について読書する

2009-01-02 23:23:58 | 読む
さいきん読んだ、読書に関する本のメモ


タイトル/著者/文庫・新書
・この本の効用 or ナルホドと思ったこと or この本を読んでこう変わった

本は10冊同時に読め!/成毛眞/知的生きかた文庫(三笠書房)
・「一流の経営者は、みんなすごい量の本を読んでいる」に納得。
 たしかに、忙しい人ほど読書家な気がする。
・この本を読んでから積極的に併読をするようになった。
 リビング、枕元、通勤鞄の3ヶ所が基本の位置。
 さすがに10冊併読は当分無理。。


インテリジェンス読書術/中島孝志/講談社+α文庫
・「どんなにたくさん本を読んでも、脳は疲れない。」に目から鱗。
 昔はブルドーザーが直進するようにバリバリ読んでたなぁ。
 今は目が疲れたり上半身が凝ったりして、長時間の読書は無理。
 となると、いかに効率よく情報を取りこんでいけるかが重要になる。
・そこで役に立つのが、この本で紹介している
 「少しずつ活字に目を慣らしていって読むスピードを速める」方法。
 最初は一度に1行読むのを、だんだん2行→4行→8行・・・と増やしていく。
 そのうち、ページ全部が視野におさまり、かつ
 必要な情報が自然に目に飛び込んでくるようになるそうな。
・この本で即、実行してみた。
 「電車が○○駅に着くまでに読み終わるぞー」と期限を決めて集中したら
 短時間で読み終えた。
・読んだ内容を記憶にとどめる方法。これも参考になった。
 読書中に「これは」という箇所があったら付箋を貼る。
 寝る前に付箋を張った箇所を見直す。これで記憶が定着する。
 なるほど早速まねしよう!と思い付箋を調達したものの、いまだ出番ナシ
 

読書進化論/勝間和代/小学館101新書
・本選びのひとつの基準:「ウェブや友達の話より質が高いか」
・考えを文章化することの重要性とブログの効用
・この本のせいかどうかは不明だけど、
 さいきん丸善の丸の内本店に行く回数が増えた。


バカにならない読書術/養老孟司、池田清彦、吉岡忍/朝日新書
・まだ読み始めたばかりだけど、早くも「養老節」全開。
・この人、モノの見方が本当に独特で面白いんだよなー。
 よくもまあ、こんな視点を思いつくなー。と驚嘆することしきり。




磯田道史「江戸の備忘録」

2008-11-27 23:45:06 | 読む
大好きな歴史学者、磯田道史の新刊。

朝日新聞に連載中のコラムに大幅加筆した本らしく、
ひとつひとつのエピソードがコンパクトにまとまっていて
非常に読みやすい。
これなら通勤電車で少しずつ読めるなーと思いきや、
読み出したら止まらなくなり
借りたその日のうちに全部読んでしまった。
書かれている内容が面白いのはもちろん、
文章が簡潔で読みやすいから、するすると読み進んでしまうのだ。

たいして歴史好きでもない私が
この人の本を待ちわびるようになったのは、
「武士の家計簿」がきっかけだった。
古文書に対する並々ならぬ愛情と、
そこから得た知識や驚き、感動を分かち合いたいという気持ちが
本の端々から感じられて、以来虜になった次第。


1話完結型の軽いコラムも好きだけど、
「武士の家計簿」のようにひとつのテーマにじっくり取り組んだ
ボリュームと読み応えのある本もそろそろ読んでみたいな。



江戸の備忘録
磯田道史・著/朝日新聞出版




ほんの備忘録

2008-10-19 01:46:56 | 読む
9~10月に図書館で借りた本。


9月に入ってから無性にフィクションが読みたくなったので、
いろいろ借りてきた。
(いろいろ、といっても毎回「み」から「や」の作家の棚しか見てない

この日は5冊借りたけど
結局読んだのは林真理子と山崎ナオコーラのみで、
あとは読まずに返却した。

・山崎ナオコーラのザックリバッサリした文章が妙に気に入った。
・林真理子の「コスメティック」はずっと気になってた本。
 数年前のコスメ大好きだった頃に読んだらもっと面白かっただろうな。



この日は「本日返却された本」の棚から選んだ。
何となく「動いてる(=人に読まれたばかりの)本」を読みたかったので。

「カツラ美容室別室」「ダイイング・アイ」は読まずに返却。
それ以外はナナメ読み。

樋口恵子の「盛年-老いてますます・・・」(→amazon)は
昔話や古典などを題材に「老い」を考察した本。
視点がユニークで非常に面白い。そして色々考えさせられた。

宮本輝の「血の騒ぎを聴け」はエッセイ集。
自身の作品に関するエッセイが特に興味深かった。

酒井順子の「枕草子REMIX」は
「枕草子ってこんなに面白かったのか!」っていう筆者の感動と
「この面白さを読者に伝えたい!」という意気込みが感じられた。
本の構成も、とっつきやすくてよかった。

同じく酒井順子の「私は美人」は
いろんな美人の類型について考察したエッセイ。
面白かったのは巻末特集?の美人カウント。
「日本海側の県はひとつおきに美人がいる」のは本当か?と
カウンター片手に現地に赴き実際に美人率を算出したという
体を張った企画。
結果は本を見てください。しかし秋田の美人率の高さには驚いた!



この日は宮本輝の棚で「流転の海」シリーズの2冊を発見。
「天の夜曲」と「花の回廊」、これずっと読みたかったの!
「天の夜曲」は連休中に一気に読んだ。
一時期、彼の作品から離れたこともあったけど
この作品は確かに私の好きな宮本輝の小説だった。
「花の回廊」も楽しみ。3連休とかにじっくり読みたいな。

「星宿海への道」はまだ読んでない。

山崎ナオコーラ「カツラ美容室別室」は一気に読んだ。

東野圭吾の「ダイイング・アイ」も一気読み。
読後しばし呆然。すっごい小説書くなこの人。
他の作品も読んでみたい。

吉田修一「春、バーニーズで」は
20ページくらい読んだところで断念。
今の私の波長とは若干合わないみたい。