時計が21時を回っている。
窓から三連休最後の夜の街を眺めた。雪は降っていない。どちらかといえば、穏やかで静かな夜だ。信号機の鮮やかな赤色が、そこだけ眩しく輝いている。
スポーツをして汗を掻いても、何処か遠くへ旅行をしても、書いた小説が認められて小さな賞を頂いても、映画評論が新聞に長期掲載されても、働く組織で人事評価されても、好きな音楽を聴いても、美味しいお酒を飲んでも、友達と話し込んでも、決して心は満たされることがない。
氷の表面に一滴の熱湯を零すみたいに、そこから得た「気持ちよさ」は一瞬で消えてしまい跡形も無くなってしまう。そしてそれと変わるように、圧倒的な力を伴った「怪物」が暗闇から現れて拷問を繰り返す。
心は、ジェットコースターのように急激に上がったり下がったりを繰り返し、穏やかに留まることがない。
疲れる。そして猛烈に苦しい。胸が軋む。本当に軋む。これだけは何とかしてほしい。この苦しさだけは何とかならないものだろうか。誰に懇願したらいいのだろう。誰に言ったら赦してもらえるのだろう?
お願いです、お願いだから開放してください。何でもしますから。
かと思えば、仏教書や哲学書、それからカウンセリングの本を読んで、心穏やかになったりもする。しかしそれとて、一時しのぎの退避場所に過ぎない。またいつもの「怪物」が、真っ暗闇からぬーっと現れ、俺の心をズタズタに引き裂き、掻き毟る。
じゃあ、あの穏やかな時分の俺は一体なんだったんだ? 同じ俺なのか? ここまで心の持ちようって激変するものなのか?
耐え切れずに、車庫から車を出して夜の街を走った。
別に当てなどない。
ひっそりとした祭日の夜の街。舗道が濡れている。人影もない。時々、ヘッドライトを淋しく灯した車がすれ違う。郊外のショッピング・モール近くの道路脇に車を停め、シートを沈めて目を瞑った。
平穏で穏やかな日々などいらないから、とにかく、この心の拷問だけは何とかしてほしい。
余りに辛過ぎる。
窓から三連休最後の夜の街を眺めた。雪は降っていない。どちらかといえば、穏やかで静かな夜だ。信号機の鮮やかな赤色が、そこだけ眩しく輝いている。
スポーツをして汗を掻いても、何処か遠くへ旅行をしても、書いた小説が認められて小さな賞を頂いても、映画評論が新聞に長期掲載されても、働く組織で人事評価されても、好きな音楽を聴いても、美味しいお酒を飲んでも、友達と話し込んでも、決して心は満たされることがない。
氷の表面に一滴の熱湯を零すみたいに、そこから得た「気持ちよさ」は一瞬で消えてしまい跡形も無くなってしまう。そしてそれと変わるように、圧倒的な力を伴った「怪物」が暗闇から現れて拷問を繰り返す。
心は、ジェットコースターのように急激に上がったり下がったりを繰り返し、穏やかに留まることがない。
疲れる。そして猛烈に苦しい。胸が軋む。本当に軋む。これだけは何とかしてほしい。この苦しさだけは何とかならないものだろうか。誰に懇願したらいいのだろう。誰に言ったら赦してもらえるのだろう?
お願いです、お願いだから開放してください。何でもしますから。
かと思えば、仏教書や哲学書、それからカウンセリングの本を読んで、心穏やかになったりもする。しかしそれとて、一時しのぎの退避場所に過ぎない。またいつもの「怪物」が、真っ暗闇からぬーっと現れ、俺の心をズタズタに引き裂き、掻き毟る。
じゃあ、あの穏やかな時分の俺は一体なんだったんだ? 同じ俺なのか? ここまで心の持ちようって激変するものなのか?
耐え切れずに、車庫から車を出して夜の街を走った。
別に当てなどない。
ひっそりとした祭日の夜の街。舗道が濡れている。人影もない。時々、ヘッドライトを淋しく灯した車がすれ違う。郊外のショッピング・モール近くの道路脇に車を停め、シートを沈めて目を瞑った。
平穏で穏やかな日々などいらないから、とにかく、この心の拷問だけは何とかしてほしい。
余りに辛過ぎる。