指で目標点を素早く指し、片目で見てズレの少ないほうが利き目だとギアム.バティスタ.デル.ポルタという人が言い出したのだそうです。
遠くのものと近くのものを一直線に合わせて見ようとすると、脳のスィッチが働いて、利き目でないほうの目に達した情報は処理されないで、利き目のほうだけで見たようになるからだと言います。
指がまっすぐ目標をさしているとき、遠くの目標に眼を凝らしたまま指先に注意して見るとB図のように目標は一つなのに、指先は二本に見えます。
指先に焦点が合っていなかったから、指先がダブって見えたのですが、逆に指先に焦点を当てて見ると、こんどはC図のように目標が二つに見えます。
見た目は二本の指示でどうやって目標を指し示すか、あるいは一本の指先で一見二つの目標をどうやって指し示すかということになります。
スタンレー.コレンは脳がこうした混乱を避けるために、利き目でないほうが瞬間的に働くなるとしています。
利き目があればピンと合わせの作業に使われない目は「ほんの一瞬スィッチがオフ」になるから両目を開いたままでも、素早く指を指せば正しく指せて、利き目で見たときズレが少ないというのです。
ところがこのやり方では、利き目というものはわかりません。
たいていの人は右指を使った場合は右目のほうがズレが少なく、左指を使った場合は左目のほうがズレが少なくなるからです。
手の位置は真ん中にはないわけですから、左右いずれの指を使うにせよ正面の目標を指差すことは目とは関係なく難しいのです。
指が正しく目標を指していれば、両眼で目標に焦点を当てて見れば、指はBのようにダブって見えるのですが、目標はダブって見える指先の真ん中に見えます。
したがって、二本に見える指先でどうやって、目標を指し示すかという問題に悩む必要はありません。
二本に見える指の真ん中に目標が来るように指の位置を決めればよいのです。
指先に焦点を当てたときはCのように目標が二つに見えるのですが、指先が正しく目標を指しているときは、二つに見える目標の真ん中を指が指しています。
したがって二つに見える目標を指差すには、指先が二つに見える目標の真ん中に来るようにすれば良いのです。
二つに見える目標の真ん中に指先が見えたとき、目標のほうに焦点をあてれば、こんどはB図のように二本に見える指の真ん中に目標が見えます。
いずれにせよ目標を指先が正しく指し示しているかどうかは簡単に見分けられ、脳が混乱することはないのです。
強いて利き目らしきものを見つけようとするならば、Bのように目標に焦点を当て、指先が二つに見える状態で、目を閉じてから、パッと両眼を開きます。
このとき指先がどちらかがはっきり見えれば、はっきり見えた側の反対側の目が利き目ということになるのかもしれません。