60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

立体視は平行法が大事

2006-12-11 22:58:18 | 視角能力

 二つの図形を融合させて見る立体視のうち、交差法のほうがやりやすいといいます。
 交差法というのは寄り眼をして見る方法ですが、これは手前に焦点を近づける方法です。
 Aは目の前に両手の指を近づけた様子を示していて、縦の線は遠方にある垂直線(たとえば壁の線)を表しているものとします。
 B図は寄り眼をして指先を見た場合の見え方で、両方の指先を見ながら眼を真ん中に寄せていくと指先が近寄りダブって見えるようになります。
 このときダブっている部分に注意を向けると、ダブった部分が指から離れて見え、ソーセージのように見えるようになります。
 本当は手が左右二本づつ見えるのですが、ダブった指先の部分が浮き上がって見えるようになり、ダブっている部分につながっている部分が見えなくなるのです。
 このとき遠方の縦の線は二本に見えます。

 C図は寄り眼にしないで、遠くにある縦の線を注視した場合です。
 遠方のものを注視すると焦点は遠くになるので、近くにある手は二重に見え、左右の指先は重なって見えるようになります。
 この重なった部分に注意を向けると左右の指先が融合してソーセージのように見え、くっきりと浮き上がって見えます。
 この場合も本当は左右の手が二つづつ見えるのですが、融合部分が浮き上がって見えるので融合していない部分が見えなくなります。
 この場合は遠方の縦線は当然ですが一本に見えます。

 Bは交差法の立体視、Cは平行法の立体視なのですが、この場合平行法は難しくなく、むしろ交差法より楽でしょう。
 ところが紙に書かれた図形を見る場合は、平行法は難しくなります。
 紙が目の前にあるので遠くに焦点を置くということが難しく、つい紙の上に焦点を持ってきてしまうからです。
 Cの場合のように遠くを見ながら近くのものに注意を向けるということをして、そのときの眼の使い方を感覚的に覚えれば、紙の上の図でもできるようになります。

 寄り眼にするのは眼の毛様体筋を緊張させるので、すぐに疲れます。
 したがって同じ立体視でも交差法より、平行法のほうが楽なのですが、毛様体筋を緊張させないので感覚がつかみにくいのです。
 文字を読むとき、毛様体筋を緊張させずに文字を見ることが出来れば眼が疲れにくいのですが、意識的な訓練をしないとつい狭い範囲をジッと見てしまい、眼を疲れさせてしまいます。
 読書のために立体視の訓練をすると良いという風にいわれていますが、交差法だけではダメで、むしろ平行法を重点に訓練すべきでしょう。