60歳からの視覚能力

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真ん中の線が二本に見える

2006-12-08 23:03:28 | 視角能力

 上の図のように細長い棒を眼の高さに上げ、両眼で目標を見たとき、棒はどのように見えるでしょうか。
 棒は左右の眼の中央にあるのですが、両眼で見ると真ん中の一本の線には見えません。
 頭の中だけで考えると棒は一本なので、一本に見えそうに思えるのですが、実際にやって見ると二本に見えます。
 片目で見れば一本に見えるのですが、両目で見たときは左右それぞれの見え方が意識されるようになるのです。
 棒がなければ左右二つの眼がそれぞれ別の見え方をしているなどということに気がつかないのですが、目標物の間に何かがあればそれは二つに見えているのです。
 二つに見えているのにそれに気がつかないのは、注意を向けていないからですが、二つに見えるそれぞれの像ははっきり見えず、ぼやけているからです。
 
 棒は必ず二本に見えるのですが、見え方は焦点がどこにあるかによって違います。
 棒の先を注視すると下の左の図のようになり、棒の先が合わさって見えますが、棒の先の目標は二つに見えます。
 棒の先の目標を注視した場合は真ん中の図のようになり、目標は一つに見えますが、棒は棒の先が離れて見えます。
 もし棒の先でなく中間の点を注視した場合は、右の図のようになり、棒は交差して見え、目標は二つに見えます。
 
 両眼で遠くにあるものを見た場合間にあるものは二つに見え、近くのものを見た場合はその向こうにあるものは二つに見えるということで、両眼で見た場合は真正面にあるものは遠くのものと近くのものが同時に一つに見えるということはないのです。
 遠くのものが一つに見えれば近くのものが二つに見え、近くのものが一つに見えればと奥のものは二つに見えるのです。
 そのため両眼の中央に置いた棒はどうしても二本に見えてしまうのです。

 遠くのものを見ているときに目の前に指を立てれば、指が二本に見えるのですが、指に焦点を当てれば遠くのものは二つに見えているのです。
 遠くのものを見ているときに、目標に向けて指を立てて目標と指がそれぞれ一つに見えるということはないのです。
 利き目のチェックとして遠くの目標を指差したり、指で作った輪の間から両眼で見るということをしますが、二つに見えているものに気がつかないか、身体を開いたりして真正面から見ていないのです。
 利き目があるとするならば、何か別の方法でチェックしなければならないでしょう。