60歳からの視覚能力

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二次元的に見る

2006-12-01 23:18:00 | 視角能力

 左上の図では二本の横線は右に開いて見え、左下の図では円盤が重なって見えて下の円盤のほうが大きく見えます。
 実際は二本の線は平行で、円盤は上も下も同じ大きさです。
 右の図は赤線の格子が描かれた透明のプラスチック板を通して見た様子です。
 格子に注意を向けないで黒い線を見ているときは左の図と同じように見えますが、赤い格子に注意を向けて見ると見え方が変わります。
 
 赤い格子に注意を向けると、黒い横線は上の線も下の線も格子の横線と平行に見えます。
 このとき格子の横線はどれも平行に見えるのですから、黒い横線も平行に見えるはずで、実際に黒い二本の横線は平行に見えるようになります。
 最初は平行に見えなかったのが、平行に見えるようになったのですから、このとき黒い横線は動いたように見えます。

 同じように円盤の場合も下のほうが広がって見えたのが、赤い格子に注意を向けて見た場合は上と下が同じに幅に見えるようになり、図形が動いたように見えます。
 もしこの透明のプラスチックに映ったままをトレースすれば正しく模写が出来るはずなのですが、正しく模写をするためにはこのプラスチックの表面に注意を向けていなければなりません。
 プラスチックは透明なのでプラスチックの向こう側に注意を向けることも出来るのですが、そうすると錯視が生じて正しい模写ができなくなるからです。

 三次元のものを写生するときもこのように透明のプラスチックを用意して、プラスチック板をとうして見えた像を格子状の線を引いた紙の上に描けばよいということになるのですが、このような方法はヨーロッパではかなり前からあり、B.エドワーズの本に出ています。
 実際に使うプラスチック板はもっと大きく格子の数が多いのですが、そうなると目を動かしてしまい、プラスチック板に写る像が動いてしまいます。
 そこでプラスチック板の真ん中に印をつけておき、片目で見て印が描く対象の一点に重なるようにした状態で描くということになります。

 要するに対象を平面に映して見るという方法で、プラスチック板のようなものを使わなくても平面的に見る工夫をすればよいのです。
 B.エドワーズの本では、心の中にプラスチックの格子をイメージして見ればよいというのですが、そこまで出来るようになるには結構練習が必要でしょう。
 図形の模写であれば、特定の4点を同時に見るようにすれば視線を動かさない限り平面的に見えます。
 左の図のような場合。図形の周りの4点に注意を同時に向けて見て、視線を動かさずに見続ければ線が動いて錯視が消えます。
 三次元の対象であれば目から等距離にある4点を同時に見ればその4点を結ぶ平面上での見え方が分かるので、紙の上での配置が分かるようになります。