考えるための道具箱

Thinking tool box

マーケティング日記。

2004-11-22 22:14:21 | ◎業
うそです。久しぶりに大阪のミナミといわれる地域をぶらぶらしたので、そこでの見聞をたんにまとめただけです。ということなので、関西ローカルな話です。

ヴィレッジ・ヴァンガードは、アメリカ村の北端で、若者もしくはパチンコ好きでなければ、足を踏み入れることのないようなところに店をかまえています。どちらかとえいば、本好きのおっさんが遭遇しにくい場所にあるということですね。

いま、遭遇という言葉を使いましたが、確かにこれまでヴィレッジ・ヴァンガードは求めていく店ではなく、偶然見つけるというケースが多かった。したがって、事業がスタートした頃は、たとえばJR奈良の駅前でそれこそ遭遇しては、喜んでいたりしたものですが、最近はSCのテナントとして開店などもふえ、とくに大きな関心は持っていませんでした。そもそも、わたしがヴィレッジ・ヴァンガードをもとめるのは、あくまでも本であって、そういった意味で、SC店舗はおおむね、中高生相手の雑貨が中心で書籍についてはあたりまえの品揃えしかしていない、というのが大きな理由でしょうか。

しかし、アメリカ村店は、少し異なっていて、その狭い間口からは想像できない奥行きの店舗に、他店に輪をかけたカオスが演出され、雑貨はもちろん、なかなかよいセンスの本がならんでしました。といってもわたしが着目するのは、アメリカ現代文学、日本の近現代文学が中心で、そのジャンルのエキセントリックな品揃えが合格ラインに達していたということです。まあ、ピンチョンの『V.』がIIIとも揃っているといったレベルですが。

店舗展開や業績・収益などが気になって、WEBサイトをのぞいてみたのですが、どちらかというと顧客というよりはIR色が強く、事業拡大を企図していることがうかがえました。直営店の数より正社員数が少なかったり、FC加盟店も増えてきているようです。

ヴィレッジ・ヴァンガードのようなサブカルチャー、オルタナティブショップにおける顧客満足の源泉は、おそらくマニュアルにはけっして載ることのない従業員個人の「良かれ」という判断のアクションにあるはずです。またMDにおいても、チェーンオペレーションに乗りにくい自主判断が重要になりそうです。

と、考えれば、中心従業員であるアルバイトのモチベーション維持、FC展開における教育・研修などをどのように行っているのか、とても興味深いところです。だれが『「V.」を並べよう』『三島のコーナーをつくろう』と発案するのか、といったことですね。現場ナレッジを還流するしくみがあったり、そもそもアルバイトの試験に文学&サブカルテストがあったりするのでしょうか。


◎遅まきながら「アップル・ストア」に行ってきました。ipodがこれほど騒がれているわりには、人は集まっていませんでした。それもそうですよね。別に、ipodなんて、どこでも買えるわけだし。

マッキンットッシュのデザインポリシーを体現したようなシンプルで美しい店舗に、G5、iMac、eMac、ibook、powerbook、ipodが、さまざま用途提案のなか整然と並んでいました。どれもカッコイイ!

しかし、いまMacを自宅用に買うか?といえば、少し難しい気もしました。まず、「大きい」「重い」が第一の壁ですか。スタッフのていねいな説明によるとノートは「ポリカーボネートのモノ(ibook)より、アルミのほう(PB)が格段に軽い」ということですが、この人たちが、パナソニックの「Let's note」を持ったらきっと腰抜かすだろうな、と感じました。
ものすごくシンプルで堂々した、新しいiMacも、狭い家ならいささか堂々としすぎですね。ほんとうに格好いいんですけれど。
あとは、OS Xの妙ちきりんな動きも最初は楽しいけど、きっとだんだん鬱陶しくなってきて挙句のはてに、処理速度に影響してるからOFFってなことになるんだろうな、と思ったりして。

じつは、これらのことは、もう10年以上も前から言われていることなんだけど、なんら解決はしていない。というか、じつはいまやMacユーザーも希求していないかもしれない。結局は、クリエイティブ・ビジネス・ユースか、可処分所得で財布がパンパンの人の3台目4台目PCとしてポジションで充分、ということなんですかね。(※1)


◎さらに遅まきながら「UNIQLO +」。心斎橋筋の一等地なんで噂どおり大盛況でした。最近のユニクロについては賛否さまざまな意見があり、否定的な意見としては、デザイン性や品質の劣化などもとりざたされているようです。
しかし、初期の志にもあったように、衣料は機能部品である(だからとりわけ定番は適正価格で)といった考えに依然として忠実であろうとする姿勢は総体として変わっていないように見え、このあたりについては、わたし自身は、極私的直感的には、かなり賛同しています。

ニーズの多様性に阿って、へんな主張のある服をつくるより、ふつうのチノパンを2,500円で売り続けてくれたほうが助かるということですね。一昔前なら、その手のものは下手したら1万円はしていた、ということを考えるとなおさらです。(だからじつは「UNIQLO +」の専用商品は、いまいちなんで、「無理すんな」といいたい気持ちです)

ただし、ユニクロの実際について調べたわけではないので、くわしくは今月号の『BOSS』(経営塾)の特集「ユニクロの変心」を、別途レビューしたいと思います。柳井-玉塚の関係について少し突っ込んだ記事もあるようだし、「SKIP」撤退にもふれているようです。


◎最後は、古書店「天地書房」「なんば書籍」で〆る、というのが、わたしのミナミ散策です。かつてミナミには、天牛書店や大阪球場の建屋に、大古本街があったりしたですが、いまや私の興味が動く古書店は、ほぼ「天地書房」「なんば書籍」だけになってしまいました(黒門市場のほうには多少残っていますが)。その両店も、5年ほど前に比べると、ヒット率が低い。大阪全体の古書店事情をみても、たとえば、上本町の「天地書房」は、ちょっと不便だし、梅田の「梁山泊」も中津の店を閉めてからは、素人に閉じた店になってるし、あとは江坂の「天牛書店」くらいですかね。いま古書はどこかに滞留しているのでしょうかねえ。神保町がうらやましい限りです(※2)。

長々だらだら失礼しました。(エントリーを、2つ3つに分けりゃあよいんですけどね)


(※1)ちなみに、ぼくが最初に買ったPCは、PB520で、つぎがPeforma5210で、その次が現役VAIOです。
(※2)東京の滞留年数もずいぶんになるのに、神田神保町には、まだ2度ほどしかいっていませんが。


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