そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

9月25日(金)久しぶりの高七

2015年09月25日 | 公開

  2時限目に演習が一つ。キックオフで、発表担当を決めたが、3人欠席だったので一部保留となる。さて、雨降りだが、こりゃ「高七」が空いておるに相違ないと、N坂をのぼる。まずはハートランドで、掻き揚げ付きにしていただき、追加で大洋盛を1杯いただく。

     明らけく 治まるみよの ととせあまり ななとせにして 店は始まる

     なつめ坂 息つきのぼり 右に折れ 道の右手に 高七はあり

     かるがると 揚ぐる手わざに 見ほれつつ かにかくにあはれ 沢蟹の舞ひ

     日替はりの 定めの膳は お得なり 野口英世が 一ひらで済む

     さはいへど あなごの天は 捨て難し まずは骨をば から揚げにして

     掻き揚げを 付けて頼めば たちまちに 心楽しき 昼餉となれり

     若女将 越の国より 輦入れの 人にしあれば 越の美酒多し

     むぎ酒は ハートランドを 選ぶべし ほどよく冷えて 杯も冷えをり

     大女将 流るるばかり したためて 供する膳の うるはしきかな

  夜は会議。しゃきっといかず、煮詰まる。もう歳であるよ。帰りはメトロとJRを乗り継ぐ。車窓に疲れ果てた老教授の顔が映った。

     むばたまの 夜の電車の 窓に顔 目を見合はせて 舌を出だせり

     辻立ちの 女も声を 掛けてこず 黙(もだ)して過ぎぬ 疲れ翁は

  A師匠から「天婦羅十躰和歌」を詠めとのご下命あり。狂獄肛門(京極黄門)となりて謹詠す。そんなに難しくなかった。

     幽玄様「この種は ゆかしくあれば 何ならむと 女将に問へど ただに答へず」
     長高様「おほきなる 穴子の骨を まづ揚げて 大皿をもて 供すなりけり」
     有心様「すずしろの 輪切りの揚げを 食ふ時し いよゝ益々 生ける甲斐あり」
     事可然様「掻き揚げの 内に混じれる 生姜切り 胸すくよかに 味はひもよし」 
     麗様「大女将 揚ぐるをやがて 積み上ぐる 天種山の なりのよろしさ」
     見様「海老天の 尻尾のかたち さながらに 赤く色づく 酒飲みの顔」
     面白様「いかなれば いかす烏賊をば 活けながら 揚ぐる技持つ 主腕よし」 
     濃様「鱚なれば 口も吸ひたし 汁も吸ひ 粋(すい)な客ぞと 人に言はれむ」
     有一節様「春されば 蕗の素揚げぞ かぐはしき 薹の立ちたる 吾にあれども」 
     拉鬼様「かにかくに 鋏を振れる 沢蟹を 油地獄に 落とすべしやは」

  おいらも、江戸時代の並の狂歌師くらいの水準は、いっているかしらん?


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